男気という言葉でもてはやして片付けてばかりいたら、日本人はビジネスで稼げなくなってしまう。



何の話かと言いますと、元広島東洋カープの黒田投手の話です。

最初にお伝えしておこうと思うのですが、私は黒田選手をリスペクトしています。
彼のことを批判する記事では全くありません。

そちらの話ではなく、むしろ報道の在り方に、当時疑問を抱いていました。

一言で言えば、どちらを選んでも良いのではないかと。
どちらも賞賛に値するのではないかと。


もう少しだけ説明が必要かもしれません。

彼は割りと永い期間メジャーリーグで投手として活躍していました。
選手としての詳細な特徴はここでは割愛しますが、勝ち星に恵まれなくてもゲームをキチンと作る投手としての評価は高かったと思われます。

選手時代も晩年に差し掛かり、当時在籍していたニューヨーク・ヤンキースでFA(フリーエージェント)に。
メジャーに残留か、広島カープへ復帰かの去就が話題となっていたことは、未だに記憶に新しく残っています。

最終的に広島に復帰となりましたが、メジャー球団の出した約21億円のオファーを蹴っての復帰は「男気」と称えられニュースにも
なりましたね。

スポンサーリンク




古巣を愛した姿は美しい。でも。


多額のオファーの方を選んでも、それはいけない事ではない。

そうであるにもかかわらず、蹴って戻ってきたことをあまりに周囲が美化し過ぎているのではないかと思わされてしまいました。
黒田選手本人がそれに対してどう思っているのかの気持ちまでは厳密には誰もわかりません。

同様に、古巣との約束の密度がどの程度あったのかは何とも言えませんし、メジャー在籍中も広島からの熱心な声があり続けたことは知っていました。

そんな中、報道がこぞって
「侍だ」
「男気だ」



これがもし自分が似た立場・状況に置かれたら、金銭の問題ではないと考えるのも、一人の別の仕事のプロとして理解は出来ます。
お金よりも大事なこともあると。

ただ、それは置いておくとして、

一方でこんな考え方も。


言い方は悪いですが、
選手でいられる時間は永くはないから、もらえる時にもらっておこうとするのもあり得る話。

養っている家族もいる。
少しでも、と考えるのもいけないことではないと思います。

それが男気が無いとも言えません。

養われている人間が言うのはともかく、他人が言えることではありませんね。
何の利害も責任も無い人間には言えません。


また、プロならば、自らを高く買ってくれる所に行くのもとても名誉なこと。

ましてそれが最高峰のメジャーリーグというのなら、そこで闘いを全うすることも立派な男気です。
そういう考え方もありませんか?

※参考記事



安い方を選ぶのが男気なのか。


勿論、そういう意味でわざと使う人が全てではないでしょう。
短絡的な発言をするわけではありません。

ただ、あまりに蹴ったことを強調している。


仮に先ほどの論理のように、家族を想う理由等で復帰を断ったとしても、賞賛に値しないわけでもありません。
メジャーリーグの数十億の年俸を選んだとしても、様々な事を踏まえれば彼にその権利はある。

何故こんな話をするのか?


もし今後、似たシチュエーションで黒田選手とは逆のことが起きた時が心配だからです。

何の利害も無い人たちが、男気が無いと決め付けて騒ぎにしないかと。
その選手に飯を食わせてもらっているわけでもないのに。
タラレバですが、この様子だと、その確率は高い。

私は美談に水を差すつもりは毛頭ありません。

ですが、稼ぐということに歪んだ考えが広まってしまうのも懸念しています。
男気で飯は食えない。

スポンサーリンク

金銭は得ていい。

 
私もお金にガッつくのは嫌いです。
「ビジネスをする」という言葉も、決してお金にガッつくこととイコールではありません。

ただ、ガッつくガッつかないに対して、周りは何も決められません。
私達が知らない思惑・事情もあるかと思います。

そんな中で一見偏ったと感じる報道に悪寒が走ってしまったのも事実です。

もし逆のことが起きたら。


メジャーでそれほどまでに評価されたことを、日本人として誇りに思うと同時に見守る風潮を望みたいです。
そういう気持ちで送り出してあげるのも大切かなと。

そしてまた、金銭を得ることに対して、男であろうと女であろうと、
得て家族や周りの人を幸せにしていく姿もカッコの良いことという論理も器も存在してほしい。
そう思います。

男の場合、それをも男気と思うのもいけませんか?

私はそれも男としてカッコ良いと思います。




どこまでが侍で、武士道なのか。


そもそもそうでなければいけないのか?
洋書のビジネス書を読む時に、時折思います。

ジレンマも起きます。
私も海外での就労時に、日本人のそんな比喩は言われてきました。

日本人だから、そのDNAは誇りに思う一方、武士道や農耕民族だからと片付けてしまうのは勿体無いというか、思考が止まってしまっているかなと戒めも込め思ったりもします。

※参考記事

そんな中で黒田選手の報道を見た時に、ビジネスや金銭の裏側を考えずに、武士の世界の話で片付けてしまうことに虚しさと時代錯誤の心持ちが訪れたことは正直にお伝えしなければなりません。

報道だからこそ、両方の側面を言ってあげても、未来のためには良かったのではないかと思います。
その理由は、

これからの人達のために。


私のアンテナが届かない所では逆の報道もあったのかもしれません。
お読みの方でそういうものを見たという方も出てくるかもしれません。

ただ、未だに男気というコピーが出回っている以上、深層心理ではやはり偏ったまま変にもてはやしてしまっているのだなと思い知らされます。



繰り返しになりますが、一連の話は素晴らしいと思っています。
黒田選手の野球人生は人として尊敬に値しますし、見ているこちらもその関係性に、顔がほころぶほどの幸せを感じています。

日本の場合、武士道への枠組みを外れた人だけが、稼ぐという意味での成功に近付けるのでしょうか?
DNAを捨てた非国民でなければ稼げないのでしょうか?

スポンサーリンクスポンサーリンク


こんな記事も読まれています。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)