ガチで独創的なレビュー:「原稿用紙10枚を書く力」(後編)



ここまでお読み下さり有難うございます。
前編からの続きです。


2分でわかるガチな概要は前編で。

総合評価★★★★★(5.0)
(理由は前編の概要にて記述。)



文章を書く事の基礎・真髄。


これを改めて一から知り、学びたい人には最適の本。
その内容はどちらかと言えばトレーニング向けではなく、心構えの要素が強い一面に賛否両論はあるかと思います。

実際巷のレビューでも、そんなのもありますね。

ただ、私も含め、たいていの人が深く考えてもこなかったであろう、「書く」という事。
それがどんなものなのかを、まず熟考して答えを出す事が、今後の人生の文章への取り組み方を改善させてくれる骨太さを感じます。

書く事を考えさせる原理の本です。
活字の怖さも同時に教えられます。


前編ではそんな書くという行為への洞察と、活字の世界の誤解に焦点を当ててレビューしました。

もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。
というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。






書く事も、読む事も、話す事も一緒では決してない。

でも全部繋がっている。

前半でそのような横の繋がりと深さを読み込んだ後に、著者の推奨する読書法の伝授へ。
効率良く読む為に、あなたが心に引っ掛かったキーワードを抽出していくその方法は、後半の文章の構築力及び構成力への鍛錬へと向かっていきます。
書く為の読書の展開。

キーワードの抽出は、本や分の骨組みを考えていく作業と言えそうです。

読みっぱなしではなく、書く材料として使うつもりで読むのである。(中略)具体的に使う前提で読むと、読み方は効率的になる。(p73)

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レジュメは文章の設計図。


書ける人ほどメモを取る。
そのメモが気付きの宝庫。
それらを元にしてレジュメの作成へ。

本書のこの作成法は私も取り入れています。
このレビューサイトでも、キーワードを抽出し、骨格を導いて、結び付けていく過程はとても良い鍛錬になっています。

著者が特に強調するのは、読み手のあなたの気付き。
あなたの感性で抽出されていく文章が独自のオリジナリティーに変換されていくという論理です。



どんどん読んで、どんどん抽出して下さい。

またどんなに優れた作家も、この設計図に多大な時間を掛け、礎としています。
その具体的なプロセスは一つ一つ順を追って書いてあるので、すぐにでも実践可能です。
組み立てていく考えで一貫しています。

 

本だけでなく。


映画でも、漫画でもいい。
あなたが独自の視点から必要な事を抽出して文を構築して伝える。その基本原理はどれに対しても同じ。

何か好きなものがありますか?
活字に親しむ意味でも、その手段は何でも構いません。


中盤以降、著者はオリジナリティーを強調していますが、そこには無理な独創性というのはありません。
まずあなたの気付きを大切にさえすれば、そのままオリジナリティーになるという励みにも聞こえてくるでしょう。
それに、良い文章が書ける、上手い文章が書けるというのは才能だけではないと読み取れるのも同様です。

映画について気楽に書いてみることは、あるものを素材に自分の中のものを表現する恰好の訓練になる。(p137)


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文章の生命力、その考えが新鮮。


生命力というのを考えた事がありあますか?

主観にはなりますが、自身で意識した事は無かったです。
だからこの言葉や概念は、脳にズンッときて、瞳が開くようなひらめきを感じさせました。

ではその生命力とは?




他人がその文章を読んだときにおもしろいと感じさせる力、文章の魅力、個性などが生命力だ。よい小説、エッセイには生命力がある。
この生命力は「文体」から生まれてくる。(p146)

最終段階として著者は、この文体にクローズアップ。
最初から文体で読ませる文章を否定しないながらも、構築力という確かな土台の上に成り立たなければ、飽きられる事も警告。
やはりそこには前編で触れた、伝えるべき意味と価値という中身の部分が無いと文章として成立しないという話にも繋がっていきますね。

その考えがある上で、細やかで良い文章に辿り着けるのでしょう。

 
いい文章とは、細部に生命力が宿っているかどうかによって決まる。(p149)
 

誰に向けて、あなたは書きますか?

 
書きはじめる前に、自分に向けて書く文章なのか他人に向けての文章なのかを、明確に意識することが必要である。(p157)

後半は総合力の強化としてやや高度になっていきます。
どのような立場から、誰に向かって書いていくのかを強調。



この考え方は、主観ですが、SNSの投稿にもコピーライティングにも全てに使える考えです。
この意識があるのと無いのとでは、文の出来が確かに変わるなとも感じています。
曖昧なままで文章を書く事は、ほぼ不可能と言っていいほど困難です。何よりも伝わりません。

何故、自分は書くのか?
教える為なのか。伝える為なのか。聞いてもらう為なのか。売る為なのか。

自分は何なのか?
先生としてなのか。新聞記者としてなのか。作家としてなのか。

そしてその自分のポジションに対して、誰が読むのか。

これらはプロや素人問わず関係してくる問題です。
前半で著者が挙げた公共性の最大の答えにも取れます。書くという行為には、必ず相手が存在すると。

そのように、本書は一貫して書くという行為の真髄を、普段私達が見過ごしてしまっている次元で追及しています。
何気無い書くという姿。
実はそこに、本来はこれだけの概念が詰まっていて、踏まえておかなければならないとの戒めが眠っています。


そして、ちょっと立ち読み。

 

値段比較をしてみた。

まとめ。


単刀直入に読んで良かったと思いました。

ライティング関連の書籍は、これまでにも読んできましたが、もっと深い次元で「書く」という事はこういう事なんだよと体得した気にさせてくれます。

全体の流れと内容に無駄は感じられません。
学生としても社会人としても、心得ておくべき要素は盛り沢山でした。
そして多くの気付きも今後の役に立ちそうです。


強いて難点を考えてみました。



うわべのテクニックの本ではないので、結果が出るまでには多くの試行錯誤が必要となる所でしょうか。

序盤の、量をこなすという考えは何も考えずに出来るものの、その後の構築や読書法などは、疲れるほどに考える力を要していくと思われます。

ですが著者は最後に、それを乗り越え、少しずつ長い文章が出来るようになった経験が自信を生み、見える世界が変わっていくしめています。山のように多くの論文を書いてきた彼からのメッセージです。

書ける力は、生きる力。そして生き残る力。



最後に:

書く力で、その人となりがわかる。
何故ならば、考える力に影響を受けるから。

本書の定義を噛み砕いていくと、そんな少し恐ろしい本質を知る事になるかもしれません。
ただ、逆に味方に付けてしまうと、これほど心強いものも無いとも言えます。
だから恐れないで下さい。

自分の中に食い込んだものがどういうものか、どういう角度で食い込んだのかを考えて記述すると、その人自身をよく表すことになる。書くことで、自分自身を確認しやすくなる。(p139)

書くという行為には多くのプロセスが凝縮されている事実を始め、公共の意識に始まる心配り、読書量から生まれる知識の深さによるコミュニケーション等が含まれていると教えられます。

これらは全て、成長していく上で必要とされるもの。
もしかしたら、たったそんな書くという身近な行為でこれらを得られるのならば、私は進んでそちらを取りたい。
ここまでお読みになったあなたは如何ですか?

書くという行為が苦手であっても、得意であっても、読む人は選びません。
書く事を通して、根底で人として大切な事さえも授けてくれる骨太の本でした。


書ける力は、生きる力。そして生き残る力。
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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