ガチで独創的なレビュー:「10年勝ち続ける最強チームの作り方」(前編)



我こそはスポーツに詳しいというあなた。

とまではいかなくても、
スポーツがかなり好きというあなた。


もしそうであると思われる節があれば、このレビューを読み進めてみて下さい。


逆に、「そこまでではない」。
心のどこかにそんな想いが少しでもあったら、この本は役に立ちません。

チームワークや組織論に関する書籍で、結束に関する悩みのある方にはいいのかもしれません。

しかしそれ以前に、より良い理解の為にはスポーツに関する造詣が必要となってくる事を正直にお伝えしないといけません。
一応本書の冒頭では、

スポーツに興味のない人にもチームワークって本当に大切だなと思わせてくれる内容です。(p1)


とありますが、
実際読んでみて、相当詳しい人でなければ消化不良になるでしょう。


本書の導入編では、スポーツへの熱狂度から触れました。



スポーツ雑誌のドキュメンタリー。

映画のモデルにもなりそうな事実が並ぶ、そんな趣です。

導入編での言葉を再び使うと、雑誌「Number」のような。

スポーツに関する過去の出来事の分析や、ルールやシステムに関する事、更には各スポーツリーグの大人の事情等と盛り沢山。一部NCAA(アメリカの学生スポーツ)も含まれています。


一瞬だけフワっとビジネス書を読んでいる事を忘れ。
スポーツ好きな人には面白い。

同時にスポーツ大国アメリカの文化としての濃さを感じさせます。


そう、内容はアメリカの(チーム)スポーツです。

だからスポーツが好きでも、
サッカーでは無理です。
大相撲では無理です。
バレーボールでも無理です。

仕方の無い事だとは思いますが、アメリカの4大プロスポーツの話が主です。

その4つ、ご存知ですか?
その知識も予備知識になりそうです。

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本書の概要と評価。

あなたは優れた人間の寄せ集めが欲しいのか、それとも人間の寄せ集めを優れたものにしたいのか?(p142)


受け取って目にした瞬間大方の予想は付きました。
ダイレクト出版にしては、珍しくひねりの無いタイトルだなという驚きがあります。

ただ巷によくある人心掌握術や組織論という訳ではなく、
スポーツの史実から「10年勝ち続ける」理由を探している所を面白いなとは思いました。


レビューするにあたり、
当の私のスポーツ愛好度は?

言うからには重要なポイントになるのでお話させて下さい。
(スポーツに詳しくも無いのにレビューをしても説得力が無いと思っています。)



私は相当好きです。
マニアックな所もあります。

特に野球と相撲が好きですね。

決して知識をひけらかす訳ではないのですが、
歴史上の事もたいていは知っていますし、話についていく事に困りません。
また夏冬オリンピックや高校野球等、スポーツ紙全般を見て困らない事は事実です。

元々が大好きなせいか種目を問わず。
興味は尽きません。

これまでにもスポーツから学ぶ事や考察する事は多かったです。

と、私の話はこの辺にしておいて、

本書はアメリカ4大プロスポーツのチームワークで勝ったサクセスストーリー達。




その4大スポーツがメイン。


再び先程の質問ですが、その4つをご存知ですか?
知っている方には恐縮です。

  • MLB(野球)
  • NBA(バスケットボール)
  • NFL(アメリカンフットボール)
  • NHL(アイスホッケー)


これらの歴史の中から、半ば映画にもなりそうな感動的なチームワークの在り方を様々な角度からの証言や分析で取り上げています。
時折裏話もアリ。

アメリカの国民性から察すると、彼らが好きそうだなと思う所もありますけども、
感傷論だけではなく、
勢いだけでもなく、
冷静に分析して必要な事を抽出していく内容には好感が持てました。

現実社会で役立てるネタは多いです。


ここでまた私事になるのですが、
私自身は元々MLB(メジャーリーグベースボール)は好きでした。

日本人選手が海を渡る遥か前、今のように情報が無い時代から好きだった事もあり、
野球に関するマニアックな事は理解出来ました。

脳内でイメージ出来る事も多かったです。
同様にバスケットボールもアイスホッケーも好きでしたので問題はありません。

ただアメフトだけはルールも知らず、チーム名くらいしかわからなかったので、アメフトの写実だけはイメージ出来ない辛さはありました。
ご参考にしてみて下さい。

テーマは無私無欲の精神。


現状のスポーツ界に一石を投じている本。

人間と向かい合っていますか?


原題は
“Help The Helper”
その心はお互いがお互いを支え合うという意味ですね。
または一枚岩となって障害に立ち向かう精神。この思想で一貫しています

そんなの当たり前じゃないか?
あなたはそう思うかもしれません。

ただ実はこの思想に至る重要な背景が存在します。




人材データ分析論は結果を示しはするが、結果を解明するわけではない。(p19)


著者が言いたい事は、
全体を通してチームワークは数字やデータではなく、その人材がチームとして必要かどうか。機能するに値するかどうか。

そう主張する背景には、
MLB等で隆盛となっているセイバーメトリクスに代表される、人材データや金銭に依存するアメリカスポーツ界の神話が横たわっています。

マネーゲームを真っ向から否定し、チームワークを駆使して強敵に立ち向かい、打ち勝つ方法。


スポーツを離れて考えてみて下さい。
あなたや私のいる世界にも決して無駄にはならない史実の数々。

何故か燃える。
意外と人間味のある内容である事に気付きます。

一番優れた選手に興味はない。チームにふさわしい選手を探しているんだ。(p143)

 

確かにスポーツの話はわかりやすい喜び。


かと言って、体育会系の話ではないです。

コミュニケーション術から指導論、更には精神医学からEQの話まで。
幅広くなっていく話に驚くと思います。



前半で、史実からチームワークやリーダーシップについての様々な選手の生き様を描写。
強いて言うならば、スポーツの話が濃いのは中盤までです。

その後は指導論や、鬱や燃え尽き症候群を避けさせる方法や対処法といった精神面の話や心理学の話へと移っていきます。
知っておいて損は無い内容ですが、やや難解な箇所がチラホラ。

ですが、あくまでスポーツに照らし合わせ、わかりやすくなるように努めている著者の周到な姿勢には好感が持てます。

10点満点の評価で、能力において5点(あるいはそれ以下)、組織に対する熱意で10点以上を得点する人物と、能力で10点でも組織への熱意で5点を得点する人物という選択肢を与えられたなら、私たちはチームメイトとして前者を選ぶだろう。(p318)



そして最終評価は。


正直、難しさを感じています。

冒頭でも触れましたが、良い事が書いてあっても、スポーツへの造詣がカギとなる事で理解やイメージに差が出る事はお伝えしないといけません。

コストパフォーマンスを考えた時、せっかく金銭を掛けても、スポーツに疎い理由だけで理解に至らないのなら勿体無いです。

造詣があり、チームワークをスポーツの視点から盛り沢山に学びたい人には★★★★(4.6)。
純粋に楽しめる利点もあります。
逆にアメリカの4大プロスポーツに疎い人には★★★(3.4)。
同じ金額を使うなら他のものでいいと思います。

そのような訳で総合★★★★(4.0)の評価をしました。
主観では好きな部類です。

ここで「10年勝ち続ける最強チームの作り方」を見たい


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あなたはどんなチームワークを理想にしていますか?



何を結束の武器にしますか?

本書では最初にチームワークの形を大きく3つに分けています。
それぞれの強みと弱みに言及。確かにその通りの内容。

この3つの分類は、何を拠り所とするかによって分けられています。

力を発揮するチームワークの形はそれぞれに違うけれど、
永く続くかどうかは別問題。

その中で、

著者が一番奨励するのは言うまでも無く、


究極の助け合い型チームワーク。

仲間を助け、仲間も彼を助けるやり方は、個人のパフォーマンスを効率よくチームの成功に転換するからだ。(p67)


一番弱点が無く、あったとしても補完し合える形。

ワールドシリーズを制したセントルイス・カージナルスの実話や、
前年度最下位からのアメリカンリーグ優勝・ワールドシリーズ出場にまで進んだタンパベイ・レイズ等の例を挙げ、具体的にどうすればよいかの説得力に拍車をかけています。

そこには、自分達の能力や現状に悲観するようなムードはまるで無く、映画さながらの人間模様は、人としての在り方を再考させてくれます。

人生に行き詰った時の処方箋としても意義のある時間を提供。

どれほど偉大な人間になれるかは、同胞の幸福のためにどれだけ尽くせるかにかかっている。
-マハトマ・ガンディー (p107)

 

「私だってそんなサクセスストーリーを作りたい!」


そう思いましたか?
そうなるとその中で重要となってくるのが選手の選び方。

あなたの仕事で言えば人材の探し方と登用方法。
チーム編成・スカウティングを実社会に置き換えてみましょうか。

相手のことをよく知りたければ、一年間会話するよりも1時間遊ぶ方がいい。
ープラトンー (p158)

ユニークで実際に考案された選考方法。
仕事の場であれ、教育の場であれ、アメリカでも試行錯誤している様が窺えます。

特に多民族であるからこそで、基準を曖昧にしない思考回路は、私たち日本人は見習った方がよいかも知れません。


ただその方法群は理に叶っていても、日本ではどうかとの疑問が。
それよりも、なぜそういう事をやるに至ったのかの概念や本質を見つめる事が大切でしょう。

成長を促されている気持がして、読み進めるあなたの原動力になっていきます。


本書自体が「人」というものが持つエネルギーや可能性にクローズアップ。

人を重んじて、深い考察の上で展開されている方法論にはロマンすら感じさせます。




かなり情熱的・感動的な展開が待ち受ける後半。

本書「10年勝ち続ける最強チームの作り方」の著者ジョン・エリオット博士とケビン・プリチャード氏。

両氏の熱さが光る後半の展開に突入です。


もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい


暮らしの中のフィールド・オブ・ドリームス
「10年勝ち続ける最強チームの作り」を見たい
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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