心の支えや、強靭な精神的バックボーンになる。
あなたの販売や営業にあたって。
タイトルから察する事が出来るかと思いますが、テーマは顧客の徹底したターゲティング。
ですが、むしろその事よりも、ここまで逆転の発想で開き直らせてくれる内容に励ましを感じさせます。
もしあなたが顧客に振り回されて思うような仕事が出来ずにいたり、良い関係が築けていないという場合には必読です。
インパクトがあるタイトル、
「イヤな客には売るな!」
ーあなたの仕事がうまくいかない本当の理由ー
まさにその通りの内容。
加えて、リピーターにする顧客化戦略。
仕事観が変わると言っても過言ではありません。
世の中で儲かっている会社をじっくりと観察してみてください。そのほとんどが、「顧客化」についてきちんと対応しています。特に、マーケットの小さい日本で成功するためには、この「顧客化」が確立していないとダメ。会社は成功していかないでしょう。あなたの会社でも、いますぐに「顧客化戦略」をスタートさせるべきなのです。(p26)
その内容は決してエゲツないものではありません。
「あなたに顧客を選ぶ権利がある」
というスローガンの下、とても理に叶って、お互いの為になる結末を目指しています。
展開されていく考えは、営業の教科書にもなろうかという内容です。
著者の石原明氏も、教科書という表現は明記していないものの、営業に教えるべき事との表現を所々で使っています。
Contents
あなたの仕事がうまくいかない本当の理由。
それは、「売ってはいけないお客様」に売っているからです。(p6)
では、どんなお客か?
これはお読みのあなたが一番わかっているかもしれませんね。
仕事をする中で、純粋にあなたがイヤだと思う人はいますか?
いたら思い出しながら、読み進めてみて下さい。
今、その脳裏に浮かんだ人達にも売ろうとしてしまうとどうなるか。
多くのクレームやわがままに振り回され、非効率にさせられるばかりか、会社が疲弊する事になりますね。
また、商品・サービスへの理解に乏しいお客を相手にしてしまう事で、良いものも悪くなってしまう懸念もあります。
結果として、誰も幸せにはなりません。喜びもありません。
私も日々実感する事が多いです。
だから、
顧客の選別が絶対条件。
序盤の第1章は顧客化の強みやシステムについての話。
今後展開されていく内容の大きな土台です。
これまでのやり方や考え方を180度覆される事になるかもしれません。
そういう営業マンが後輩に、「営業とはこうあるべきだ」などと教えるものだから、「先輩に倣え」で、みなが「イヤなお客様にモノを売るのが営業だ!」と思い込んでしまっているのです。(p65)
目指す所は、気持ち良く提供出来て、気持ち良く利用してもらう。
究極の姿ですね。
それが一番嬉しくはありませんか?
あなたが提供する商品・サービスの良さをきちんと理解してもらう為のコミュニケーション方法と、その上で、理解してくれる顧客様との信頼関係を構築していく方法へと話が移っていきます。
人を選び、後述するような適切な行動をとれば、ほとんどのお客様はリピーターや新商品購入者、紹介者になってくれます。お客様を選別するって、これだけ大事なことなのです。(p67)
イヤな客を選別するには。
同時に、良い客を選別するには。
情報提供という形を取り、密度で分けていく。イヤな客には開示をしないとの事。
あなたがお客様に情報を提供していく過程で、商品やサービスは必ず売れ、さらにその後も情報を定期的に提供し続けることによって、その人は顧客になってくれるのです。(p70)
情報を提供していく事による集客方法とターゲティング。
その流れが具体的に順を追って書かれている所に好感が持てます。わかりやすい。
著者がコンサルタントとして経験した具体例も十分。
この辺りはコンテンツマーケティングの話にも通じていく箇所に思われます。
更には、提供する為に使う媒体や、広告・チラシの作り方にも言及。
ここで、気を付けなければいけない事があります。
売らない戦略。
集客も営業も広告も、興味のある人を探す為のもの。
マーケティング用語で言う所の「見込み客」ですね。
あくまでそれらは見込み客という購入する可能性のある人を探す作業。
顧客にする事は二の次で、その可能性や確率をじっくりと時間を掛けて高めていく活動と段階を踏みます。
だからもし、広告・チラシを出しても売れないのならば、それはその段階を無視して売ろうとしているから。
たとえ一時的に売れたとしても、顧客化にはならず、本書ではあくまで売る事よりも顧客化をする事に重点を当てています。
集客から顧客化までが生命線と表現。
役立つ情報を開示する事で、伝える事を重視。
確かにビジネスというものは、売る事よりも伝える事と言うのは周知の事実として存在します。
余談にはなりますが、通販番組は主に伝える事を重視していますね。
売る事よりも、商品のプレゼンテーションに長けていると認めざるを得ません。
多くのビジネス書を読んだ人には内容がややカブる懸念。
良い所でも悪い所でもある印象。
これまでのマーケティング等の書籍のターゲティングの箇所を抽出して、手軽に一冊にまとめた感じも見受けられます。
個人的には多く読んできた事もあり、目新しくない所があった事は正直に伝えようと思います。
ですが、とてもわかりやすい流れでひとまとめにされている事と、冒頭での精神的に楽になる・励みになる所が一番の収穫。
マインド面のみならず、手法にも触れている所に総合力の高さを感じさせます。
そこで、
ターゲティングについて触れているオススメの書籍。
「一生、お客に困らない!
日本人の知らなかったフリーエージェント起業術」
本書同様に、顧客との関係にクローズアップしている書籍。
序盤の内容は主に「顧客を切り捨てる」事を推奨しています。
やはり顧客の選別が最初に必要という論理で一貫していますね。
また、起業術と銘打っているものの、これから起業する人のみならず、今既に行っている人にも適用可能。普遍的な本でオススメです。
「市場独占マーケティング」
自分だけの市場を作ってしまうという内容の書籍。
それが「独占」という言葉に結びつきます。
その為にはターゲティングが必要。
誰にでも必要という商品・サービスを提供するのではなく、本当に必要としている人に対しての働きかけを行っていく活動は、本書の論理と共通しています。
顧客の選別から、顧客化の流れとその後のフォロー。
冒頭で教科書という表現を用いましたが、これらに特化した本書は営業戦略の兵法書という表現も当てはまります。
もしあなたが組織を束ねる立場の場合は、周囲の方達にも読ませる事が出来ると考えてのコストパフォーマンスの良さも付け加えさせて下さい。
脳内革命を促す意味でも、オススメです。
徹底すべき教えが詰まっていますね。
営業革命。今までのやり方は古い。
こう考えた事はありませんか?
苦労や根性を美化する営業は非効率なのではないかと。
現実問題として、それがまかり通っている事は否めません。著者もそう言っています。
私もずっとそう思っていました。
勿論、そういったものは人生では時に必要になる事であり、否定はしません。そして出来ません。
ただ、頭を下げてお願いして買ってもらう事やサービスを受けてもらう事を考えるのではなく、極論を言えば、そうしなくても済む方法を考える事は出来ないものかと。
何故そちらに頭を使わないのだろうと。
労せずモノが売れていく方法を考え抜く方が、実は最大の経営努力ではないのかと。
頭と値段をすぐに下げてしまうのは、逆に質の悪いお客を自ら引き寄せてしまい、更にはある意味手抜きだとも考えていました。
あなたは如何ですか?
あえて悪い言い方をすれば、
「頭下げておけばいい」
という考えも戒めないといけません。
本書を読んで、それは違うのだと確信になり、バックボーンになったと伝えさせて下さい。
あなたがこれ以上苦しむ必要は無いと断言出来ます。
「イヤな客には売るな!」
祥伝社 黄金文庫
売るのも、選ぶのも、あなたの権利。皆の幸せの為に徹底。
最後に:
「私は、自分の商品をよく理解して選んでいただきたいと思っているので、買う、買わないといったお話の前に、よく商品の説明をするようにしています。よくわかっていただいてほしいと思っているし、それでもほしくないという方に、無理に買っていただこうとは思っておりません」などと言っておくのです。(p174)
この言葉は大事にしようと思います。個人的に感じた、著者からの本書の最大のメッセージです。
ただ一つ注意しなければならないのは、そのように選別をするからには、提供する側も商品・サービスの改善やクオリティーは常に考え続けなければならない事。
選ぶ立場にあるだけの自信も必要となるでしょう。
強靭なバックボーンを得たと同時に、戒めも芽生えさせます。
それがあなたもお客も幸せ。
小さな本ですが、意外な掘り出し物。
本書の考えを徹底する事で、営業力の向上と革命が起こっています。
もしかしたら営業・販売の本質を改めて考えさせてくれるとも言えます。
あなたが今、顧客に対しての悩みが尽きない時に、シビアながらも、権利を胸張って行使するだけのフレーズが詰まっています。
自信を持った仕事へ。
売るのも、選ぶのも、あなたの権利。皆の幸せの為に徹底。
「イヤな客には売るな!」(文庫本)を見たい
※単行本の方が安価です。
記事作成時点では、文庫本が何故か高く設定されています。
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「「イヤな客には売るな!」は安価な本だけど、顧客化への脳内革命を促すバイブルと言ってイイ。」への5件のフィードバック
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