ガチで独創的なレビュー:「ダン・S・ケネディの世界一ずる賢い価格戦略」(後編)



ここまでお読み下さり有難うございます。 
前編からの続きです。

2分でわかるガチな概要は前編で。

総合評価★★★★(5.0)
(理由は前編の概要にて記述。)



価格の全ての恐怖から逃れたい。

悔しい値下げをせず、真っ当に利益を得たい。

その為に必要な脳内革命。


あなたが心に持っている、価格設定に対する恐怖や思い込みを捨てさせてくれる本書。
価格戦争に打ち勝っていく為のあなたの静かな武器に。

戦略以前に、「価値」と人間心理というものを、もう一度最初から考えてみよう。
そんな著者の叱咤激励。

本書前半の理論編にて、お読みのあなたの自信と勇気を持たせる展開。

「なんでも安い値段のほうがいい」という顧客はほとんどいない。賢い顧客なら誰しも、「最高の価値」を求めるか、欲しいと願うものを求める。(p128)


ただそこでは具体的な手法よりも価格や価値の本質に触れた論理が続きます。

もしあなたが本書の最初からテクニックを知りたいのでしたら、期待外れになる事も否定出来ません。
でもそれは、考え方が如何に大切かの表れとも言えます。


前編ではそんな価格に対するマインドセットと啓発的な励ましに焦点を当ててレビューしました。

もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。
というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。


人は何に価値を感じるのか?

価格の妥当性を本書と共に読んで考えていくにつれ、ブランディングやマーケティングに行き着く重要性。
そしてまた、一見簡単なようでも、普段から価値というものについて向き合っていく事の大切さに気付いていく事になるでしょう。
あなたがもし心底悩まされてきたのならば、尚更です。

ほぼ本書の3分の2を占める理論編で起きた、多くの発想の転換。
今ではそれらは私の中に戒めとして残っています。

その中で一番大きかったのが、


「値段を下げなければ売れない」。


と考えるのではなく、

「価値を上げなければ売れない」

という発想の転換です。
そして自戒の言葉。
またこれまでの実体験の苦しみを顧みながら、そこに行き着くには、ほんの些細な考え方の繰り返しが必要だと気付かされていくでしょう。

そもそも、「ありふれたモノ」などない。あるのは「ありふれた考え方」だけだ。証明して見せよう。(p92)

 

価格戦争でたとえ一時的に勝てたとしても、そもそも勝つ必要はあるのだろうか?ご自身も消費者も「ありふれている」と思っているような商品・サービスを提供する事で、たとえ一時的に利益が上げられたとしても、そもそもそんなモノを提供する必要があるのだろうか?(p101)


その考え方はシンプルそのもの。
もしあなたが価格という物騒なものに苦しんできたのならば、思考回路を変えてみましょうか。
その積み重ねの結果が、あなたの価格に対する不信感を溶かしていくのだろうと信じています。

更には、経験したであろう、値段に対する反発に対抗できるマインドと武器へ。
交渉術の助力にもなりますね。



もう一つの価格戦略への戒めの言葉。


「高くしたら売れないのではない」

本書の中で、ロレックスの話が一例として出て来ました。
あなたもご存知の高級腕時計のロレックスです。

もし目の前で、5000円でロレックスの時計が売られていたらどう思いますか?


恐らくはあなただけに限らず、大半の人が疑いを先に持つかと思います。私もです。
そして買わないでしょう。

逆に、数百万・数千万の値が付いている方が信じるのではないでしょうか?
たとえ高くてもです。

その真意は、
「高くしても売れる努力をしていないだけ」

著者にそう投げ掛けられたような気持ちです。

実はこのフレーズ、私の中でのある実体験にもその由来があります。



一人の顧客様が私にこぼした一言。


「安くするのは簡単だよね」

その顧客様は価格の事は一切気にせずに買って下さる方です。いわゆるターゲティングとしても上顧客ですね。
この言葉を聞いてからというもの、本書と共に考えていました。

安くする事は何も考えず、何の努力もせずにできる。
そうではなく、逆に(正当に妥当に)高くして売れていくように努めるプロセスが本当の経営だよな、と。

それこそが皆が幸せになる。
安売りは泣く人を増やす。

そう悟った私は、他の経営者との交渉の席でこう言いました。

「私に1000円負けさせるのではなくて、あなたがその1000円の粗利を得る努力をするのが良い経営であり経営者ではないですか?」


※発想の転換に関しての記事もあります。 


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最後は価格戦略、実践編。


失敗する5つの戦略。

これをテーマにズバズバと斬り込む印象です。
これまでの理論を踏まえてのステップかと思いきや、あまり変化はありません。
理論編をもう一段階深めています。



最後尾の抜本的な話は戦闘態勢を整えさせてくれます。

さすがダン・S・ケネディ氏といった所です。


全体を通して「戦略」と銘打っているものの、価値と価格に対する理論と、実際の現場のエピソードに終始していました。

その為、具体的にどうするかの手法をイメージしている人には的外れな感覚はあるかと思います。
世間で宜しくない評価が見られるのはそれが一因にも思えますね。

ただ、それを差し置いても「価値」というものを熟考した上でビジネスに活かさないと、自らの首を絞める事になると実感させる内容は意義のあるものだったと言わせて下さい。



こちらの本でも
イメージ戦略と価格戦略。




「天才詐欺師のマーケティング心理技術


本書でもイメージは価格を左右するというテーマがありました。

着ているもの一つ取っても、価格に大きく影響するとも。

もっと具体的に、その部分を深めた戦略がこちらの書籍にはありましたね。
一見怪しげなタイトルですが、一つのドキュメンタリーとしても面白いです。


そして、ちょっと立ち読み。


 

値段比較をしてみた。

まとめ。


価格に対するマインドは強くなりました。

その意味では良書だったと思います。
あくまでその思考法のような捉え方です。

あなたが「これがこの商品に最もふさわしい価格だ」と思うとき、そこには確固たる戦略に基づく理由がなくてはならない。(p225)


今までの価格の考え方では上手くいかないという場合、思考回路を変えてみる為に繰り返し読んでいくのが良いかも知れません。
思考のメンテナンスとしても。

価格や顧客に振り回されるな、と徹底した本書。
根底には企業やブランドが価値を作るのではなく、信じた価値が企業やブランドを作るのだなという事でした。



だから、自らが価値を信じないならば、たちまちのうちにその城は崩壊する。
その価値を信じていく過程や、最終的な目標を考えたら、誰もが全ての事を面倒に思うかもしれません。

でも面倒な事に情熱を持つ事そのものが経営努力。そして再び価値への循環。
高いにはそれだけの事があるという認知へ。

上代をなかなか上げられないという事があなたにありましたら、心の部分で考える為の本書をオススメします。

これまでとは比べものにならない程の高い価値を提供するための、まったく新しい価格に関する認識を持たなければならない。(p262)

 


最後に:

神話を疑う。

この世には沢山の神話が存在します。
本書のテーマで言うなら、「安ければ良い」という神話。

その神話を抜け出すものが成功するという言葉には励まされました。
あなたもきっとそう思うかもしれません。そしてそう思ってもらえたら嬉しく思います。

願いを言う事が許されるのならば、こう言わせて下さい。

安ければ安いなりの信頼と保証、高ければ高いなりの信頼と保証。
その至極単純な論理が浸透してくれたら、ブラック企業が増える事も無いのでしょう。
価値と価格に目を背けてきたしっぺ返しかもしれません。

加えて、誰もが手頃な価格で不相応なサービスが受けられる恩恵と神話は、平等を目指した世の中の、皮肉な弊害とも言わせて下さい。

何が本当の平等なのか。

儲けなしには、社会に貢献することもできない。(p260)

安くする事が社会貢献ではない。
そんな本書のラストが武器を持たせてくれます。


あなたが価格を信じる。それは価値を信じる闘い。
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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