ガチで独創的なレビュー:「天才詐欺師のマーケティング心理技術」(後編)



ここまでお読み下さり有難うございます。 
前編からの続きです。


2分でわかるガチな概要は前編で。

総合評価★★★★(4.4)
(理由は前編の概要にて記述)




詐欺師のマーケティングは何だろう?

どう稼いだ?
そんなあなたの好奇心を満たしてくれるドキュメンタリー。



マーケティングの本としての本質に目新しさは無い。

その部分であえて評価を下げましたが、
天才詐欺師の主人公ジョン・R・ブリンクリー医師の時代を越えた奇想天外なアイデアと生き様は純粋に楽しませてくれます。

一つの映画の如く。
劇場型人生。


前編ではそんなドキュメンタリーとしての面白さに焦点を当ててレビューしました。

物語としての面白さ。
マーケティング本としての平凡さ。

どちらを取りますか?


もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。
というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。



ところで、もう一つのメリットとして、
悪戯な切り口を知っておく事で自己防衛や人を見抜く目を育むのに一役買う本とも捉えられます。

ただ、繰り返しになりますけども、マーケティングを新しく学べるかどうかは期待しないで下さい。
好奇心のみです。





どのように信じさせたのだろう?


詐欺師の仕事は「信じさせる事」。
人々を信じさせる為に繰り出される彼のアイデアの数々を読み進める。

そうすると、類稀なマーケティングの才能だけでなく、ある一つの彼のパーソナリティー(人格)が露わになっていく感覚を覚えます。

同時にそれは成功への必要条件となるカギ。

その部分には個人的に勇気付けられました。
またそこが読み進めていく原動力を与えてくれます。

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大きな成功はクレイジーな人に宿る。


でも詐欺はいけません。


アイデアの数々の優劣を論ずるよりも、彼に備わったもう一つの才能や人格。

それは・・・。

大胆さと独創性、そして不屈の魂。


私は”大胆さ”を素晴らしい資質だと思っている。そして、運命の女神は大胆な者に味方する。(p96)


総じて彼の人生は大胆そのもの。
当時(1920年代)の世相を考えても、到底凡人には発想も行動も出来ないものばかり。

嘘を問い詰める為に彼を挑発した新聞社との対立なんて狂っています。
それをまたとないチャンスだと考え、実践した彼の思考回路にも注目です。

例えば、危機に直面したときの起業家的対応と会社的対応の違いを考えてみよう。(p196)


迷いの無い信念・行動こそが成功への第一歩。
その心はまさに
「やるしかない!」




皮肉な話ですが、
迷いが無いからこそ詐欺を働けるのかも知れません。
でも詐欺はいけませんっ!

ここで感じる事は全て実現に至らせようとする執念でしょうか。


マーケティングの心理技術という側面よりも、一人の人生を読む事で成功哲学・マインドを知る。
彼の史実・実績からそんな位置付けの方がしっくり来るかと思います。


めげずに何度も立ち上がる人間が勝つ。

 
彼を最も的確に表すのは、創造的に、野心的に、攻撃的に、何度でも復活を遂げる人間だ、ということだ。(p248)

ダン氏の興味・・・
詐欺師の主人公の史実から何かヒントは得られないか?

・・・から始まった本書の執筆。

最後部では彼の一生を総括して、マーケティングからそんなマインド面にクローズアップする言葉が多くなっていくのに気付きます。

あなたはどんなに非難・困難、
または見向きもされなくなっても立ち上がれますか?

突き付けられます。



直接的では勿論無いのですが、
そんなビジネスのみならず人生の命題が最後に本書から与えられている気がします。

ブリンクリー氏の成功物語の締めとしての教訓。
私はそう感じています。

もしかしたら、ダン氏が何よりも伝えたかった事。

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一人の人生のマーケティングなので関連分野が多い。


全体としてこれは利点でもあり欠点でもあります。
前編で、主人公の人生の時間の経過と共に「万遍無く」書かれていると書きました。

これまでのマーケティングの本を一冊にまとめた印象とも。
その為、多くの分野の書籍でカバーする事が出来るのも正直な所です。

本書を娯楽やドキュメンタリーとして読むのはオススメしたいと思う一方、マーケティングの本として本質に目新しさを感じなかったのはそれが理由でした。

では、

同じマーケティングの心理技術としてオススメ出来る本は?




市場独占マーケティング


顧客の心理を操作してマーケティングという章
もありますが、その観点ならばこの本。

需要と供給の関係をどのように操作すれば顧客の心を操作出来るのか。
その手法にクローズアップ。

ターゲティングやブランディングについても書かれています。






ダン・S・ケネディの世界一ずる賢い価格戦略


価格戦略の章
がありますが、その場合はこちらの本。

同じダン氏の書籍で、少し似た内容です。
本書では主人公が、どのように高い価格で売る事が出来たのかに言及していますが、こちらはその手法をより深めた内容です。




秘・人脈活用術


自らを特定の分野のエキスパートとしてポジショニング・ブランディングするという内容が要の本書ですが、正当なやり方(?)でしたらこの本。

本書の演出方法も理には叶っていますが、
この本は悪戯なアプローチではありません。

対照的にも思える本ですので正直引用は迷いましたが、載せておこうと思います。



また本書の中でも、やはりダン氏の読書量は非常に多く、沢山の著者や書籍の紹介が出て来ます。
そこでごく一部ですが、気になるものを調べてみました。





「売る」広告 (新訳)



「広告の神様」と呼ばれるデイヴィッド・オグルビィ氏の名前が出て来ます。

いかにしてドラマティックに伝えていくのか。
前編で触れた、劇場型のマーケティングに通じます。


ダン氏は彼の仕事に注目し、研究をしたとの一節が出て来ますね。
この書は私も所持しています。






究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル


これはダン氏の書籍です。


マーケティングに欠かせないコピーライティングについて書かれています。
特に本書の時代背景を考えますと、活字の重要性が特にあったのかなと読みながら考えました。

私自身も興味のある書籍で、読んでみようかなと思っています。

そして、ちょっと立ち読み。



値段比較をしてみた。

まとめ。


あなたにこんな経験はありますか?



映画やドラマを見終わった時に残る一抹の寂しさ。
今まで入り込んでいた物語の世界から急に遮断されたような距離感・疎外感。

その余韻でその続きを想像してみたり。

読み終えて、そんな心情になりました。
ビジネス書の終わりに抱く気持ちではないですね。
それは本書に物語やドキュメンタリーの要素が強かった事の証かもしれません。


アメリカ史上最大の詐欺師ブリンクリー医師。
私は医学の事はよくわかりませんが、彼の成功への道筋は面白かったです。
あくまでそれは物語として。

もしあなたが今までのビジネス書やマーケティングの本に飽きたら読んでも良いのではと思っています。


ビジネスの精神論なんて本は出しにくい。
私はそう思っています。

ただ本書を読んで、
主人公の生き様を取り上げる中でそのリアルさを利用しながら、精神論でさえ伝わりやすくしている部分は評価したいと思い直しています。

史実を基にしているからこそ、理論やテクニックではない所。
人間から人間を学ぶ所。

ダイレクト出版

信じさせる事は、もしかしたら皆が幸せ。



最後に:
清濁併せ呑む為に読む。

導入のこちらでそんな表現をしました。


その意味は、
良いも悪いも受け容れて知っておく事で大きく構えられ、
人間の成長や自己防衛になるという私自身のこれまでの事業経験の中での思想からでした。

悪い事を肯定するのとは違います。

ただ詐欺師の面白い所は、実は善悪の狭間に存在している所なのかなと思いました。
突き詰めればそれは、人間の悲しいサガ。


何故かと言うと、
倫理的には悪くても、人が信じればそれはたちまち善になる。
一方、良い事でも信じてもらえなければ悪になる。

例えば、
どんなに良い商品を作って、善い行いをしても信じてもらえなければ少なくともビジネスの世界では悪という事になる。

勿論これは極論に近いです。
ただ経験した現実でもあります。あえてそう言わせて下さい。


人は信じるからお金を払うものという事実も存在します。

だから嘆くのではなく、
踏まえた上で、信頼への大きな努力を逆に改めて感じさせます。

良い商品を作るのも努力ならば、信頼に努めるのも努力。
詐欺師の本を読んだとはいえ、
やるべき事をきちんとやって、信頼に値するようになろうとより引き締めています。



本書を読み進めて、
如何に「信じる事」「信じさせる事」が強大な力をもたらすかを心の片隅で悟らされました。

まさに「信は力なり」ですね。

その努力も一つのコミュニケーションとして、善行と共により必要だと痛感させます。
でも、詐欺はいけません!

信じさせる事は、もしかしたら皆が幸せ。

<<前編で2分でわかるガチな概要を確認したい

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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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