ガチで独創的なレビュー:「采配 落合博満」(前編)



彼を嫌いな人は読まないで下さい。
そして、野球がわからない場合も読まないで下さい。


と言っても、ここに来られたあなたはそうではないと思いますので、話を続けますね。
私はこの方は好きです。

落合博満氏。

自分の采配を「正しかったか」
それとも「間違っていたか」
というものさしで考えたことがない。
ただあるのは
あの場面で
最善の決断をしたということだけである。

名言の数々。
限りなくシビアでも、励まされるでしょう。

監督を辞めてから早い時期に出された本書。
監督業の傍らで執筆との事。

人心掌握本と分類します。

あなたもご存知の監督としての結果(就任8年間Aクラス、優勝4回、日本一1回)から、どのように選手を想い、人心掌握をして動かしていったのか。
現場にいた人間だけがわかる裏話を含め、その真実に触れる事が出来ます。

責任を重んじ、覚悟の上で采配を振るってきた彼の姿は、同じく人を動かす立場にいる方にオススメです。
あなたも勝てる人心掌握や采配をしませんか?

そう言っても良いくらいの理に叶った(叶い過ぎている)思想が続きます。
彼も一般のビジネスにも置き換える事に配慮しながら、こう問い掛けているようです。
「勝つ為には余計なものは要らない」と。





ブレない思想。

その考えを読んでいくと、視点の鋭さと共に、活字の上からも感じる強い意志がそびえています。

また、本書は彼のこれまでの書籍とは異なり、監督としての立場から初めて書かれているのが特徴です。
独自の考えを貫き通した落合博満氏。

でも実は、独自なのではなく、誰よりも考えた上で他人が気付かない視点で物事を見ている事に気付かされていきます。
それは監督としての立場になっても変わりません。

チーム作りの全容を通して、改めて考える人だなと思わされます。
全ては結果の為に。

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本書の概要と評価。


※ちなみに、YouTubeにて「落合博満の名言」と検索すると沢山出てきます。
ご興味のある方にはオススメ。


しかし先程の想いから、改めて本を読んでみようと思い数冊購入。本書はその中のまずは一冊。
私は野球が好きなので、このような本を手に取る事に躊躇はありませんでした。

 

簡潔な名言集のような構成。


さて、読み進めていくと名言集の形。
一つ一つの章が2、3ページほどにまとめられていて、章の最後に名言。

これはよくある構成で珍しくはないですが、読みやすいのも事実です。
その考えに至る経緯や出来事・経験が終始穏やかな文体で語られています。

監督時代に明かされる事の無かったリアルな話も多く、そこは野球好きの私には面白かったです。

またエピソードそのものから展開をされているので、難しく考える事も無く読める利点もあります。
本書を読む前に、それまでの落合氏の監督業を見てきた予備知識があるなら尚更です。




今回の内容は、監督という立場からのものであり、主に選手の育成とコミュニケーション、そしてその上で試合に勝つ為の考え方に焦点を当てています。

話が少し逸れてしまいますが、GMとしてはあんまりでしたね。
その理由も本書から垣間見れる気がしています。
つくづく彼は現場監督や技術者、そして育成タイプ。
だから、GMのような、人脈を駆使したりマネジメントするタイプではない。
GMにしたのがそもそもの間違い。そう感じます。

選手との接し方にポイントを感じた。


一般社会と決定的に違うのは、
プロがプロを教える世界。エリートがエリートを教える世界。
そして、年俸というものが高いけど、いつどうなるかわからない細心の注意がある世界。

何よりも落合氏自身が公私共に身に染みて感じてきたその事実から、選手への愛情が窺えます。
そして、エリートだからこそどのようにする事が良くて、どのようにする事が避けるべき事なのか。




特にプロスポーツの監督というのは、ずっと注目されてエリートだった猛者共を束ねるそれ以上の猛者。
そうではないと組織の長は務まらないよなと思って見ていました。
そこが実務的で、教育者とは違う所ですね。


監督として、その生活を背負う覚悟も感じ取る事が出来ます。

そうなるとかなり緻密で高度な育成法や人心掌握術だと捉えて良いのではないでしょうか。

※プロが高年俸のプロを束ねるテーマの書籍はこちらでも紹介しています。

そして最終評価は。


一つ難点があるとすれば、動画を見てもおわかりのように、好きな人にとっては既に知られている考察がある所ですね。
培ってきた考えを、そのまま監督業にも活かした部分がある事に目新しさはないのかもしれません。



ですがそう思う一方で、その事柄が生まれた背景を、更に深めて知るような感覚に陥った事はお伝えしようと思います。
通常のビジネス書には無い、責任者としてどうすべきかをリアルに参考に出来る所は多いです。

第三者の考察ではない所がリアル。

そのような訳で、★★★★★(5.0)の評価をしました。


彼の著作はいくつかありますが、これが一番オススメです。

ここで「采配 落合博満」を見たい


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落合采配の人心掌握の真髄は。


一言で言うと、思考の先回り。

物事の見方・考え方が一元的ではない所。


一面だけを捉えると悪いようにしか見えない事でも、裏の裏の意見を知ると、そこには多くの自己犠牲と思いやりが見られます。
そこまで考えていてくれたのか、という事がわかると驚きも込めて心を掴まれますね。

心の掴み方、参考になります。

心理学よりもリアルに。



特にそれはWBCやオリンピックへ代表を送り込まなかった事や、オールスターの選手選考のエピソードからの本音で顕著です。
加えて、個人的に印象に残ったのは、スーパーサブとして存在した岩崎選手の年俸への考慮でした。

これは日本の社会のよくない部分だ。「国のため」、「世界一になるため」などという大義名分があると、組織図や契約を曖昧にして物事を決めようとする。(p90)

選手選考に関しては確かに賛否両論はありました。
あなたも記憶に新しいかと思います。

ただ彼の意見の土台として、プロとしての契約や生活をおもんぱかっている。責任も持っている。
その上での岩瀬投手をかばう発言などから考えると、その時々で何が大切で
守るべき事なのかの原理を思い知らされる事になるかと思います。

同時に、ちょっとでも何かあったらいけないとのプロの世界の過酷さを改めて知る事になります。
監督はその全責任を担っているとの一貫した考え。

報道の中で、彼の結論に至るプロセスが如何に省略されていたのかと思うと、真実を伝えるべきはずの報道の在り方に疑問を感じずにはいられません。


一元的ではない事。

いずれにしても、いろいろと渡り歩いてきた彼だからこそ気付く視点なのかもしれません。

だから、


考える賢さだけでなく、自己犠牲。


身近にいる選手はわかっていたのでしょう。

彼がペナントレースを勝つ事に徹した合理主義から判断すると、周囲の誤解よりも、選手がわかってくれればそれでいいとの考えがあったかと思われます。

批判への覚悟も感じられます。この覚悟は励まされていくでしょう。
意外と強烈な主張もせず、あくまで淡々と考えが続きます。



前半では主に、一対一での選手との接し方に焦点。
若い選手に伝えたい言葉には、恐ろしいまでにシビアでありながら、彼らの先々の生活や人生までを思いやった見解です。

その代表例が、
野球を引退した後も仕事は続いていくという、
「引き際はきれいに」

もし野球がダメだったとしても、努力をした事が次にも無駄にはならないという、
「勝ち負けよりも勝利へのプロセス」


これ以外にも厳しさと愛情の狭間から出て来る言葉からは、プロがプロを教える世界の難しさの中で、コミュニケーションのコツを教えてくれるかもしれません。
実際私も技術を教える際に効果があった事は多々ありました。

また言葉というのは作られたものよりも、自分の努力の中で、どのように仕事に対して考えてきたかの思考力がそのまま直結するのではないでしょうか。
彼の選手時代を振り返るとそう感じます。

部下との接し方、悩んでいませんか?


落合氏も悩んでいました。

もしあなたがそうならば、心配はしないで下さい。
指導でも、掌握でも、選手起用でも、誰よりも神経を使っている様子が読み取れるでしょう。
私は感じました。

監督になり、選手に対する言葉のかけ方の難しさは嫌というほど痛感させられた。ただでさえ、選手たちは監督が自分に対してどう思っているのか、何を求めているのかといったことに敏感だ。(p140)


最初から何か特別な策があるわけでもなく、大局的に見ながらも試行錯誤していたようですね。
その試行錯誤のプロセスを知る事は、必ずやお読みのあなたにも役に立つと信じています。

その中で、一つだけあった彼の特性を感じます。

それは、



恐れない心。


自分の中で考えに考え抜いた末の答えなので、多くの覚悟を背負っていたのでしょう。
選手の側にしても、動じずにいる監督の下にいる事は嬉しかったに違いありません。

私ならば嬉しいです。
あなたは如何ですか?

選手あってこそのチーム。

その一つの因子である選手の育成とコミュニケーション。
これが上手くいかないと組織は崩壊します。
その大切な因子を大切にして向き合いながら、常勝軍団への軌跡へとページが進んでいきます。

勝つ為の後編へ。

もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい


勝つ為に、誰よりも自分と闘った将軍の言葉。
「采配 落合博満」を見たい


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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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