ガチで独創的なレビュー:「現代広告の心理技術101」(前編)



「オレが広告というものの真髄を教えてやるっ!」

「はい先生、教えて下さい!」

「まずは人間の心理を読み解く事だっ!
読み取れてるか?」


「人に影響を与えられてるか?」


そんな授業を受けている中にあなたはいる。そんな骨太の本です。

良書である事は先にお伝えしてレビューしていきますが、その前に、
この本を広告だけの観点で見ない方がいいでしょう。


危険です。違和感をもたらしますね。

それよりも広告を知る為の消費者心理学(もしくは販売心理学)の本。

そう考えて永く付き合って、DNAレベルで体得していく事が効果的ですね。
広告がすぐに上手くなり即効性があるものではありません。

繰り返します。
これはあくまで広告や販売に役立てる為の心理学の本。



「気持ち悪い・・・。」

先程お伝えした違和感。
例えば具体的な広告の作り方やコピーの書き方を手取り足取り教えてくれる、

あなたがそういったものを期待してしまうと、本書は的外れな結果で終わり、気持ち悪さが残る事も否めません。

効率の良い広告やコピーを生み出す為。
その本質の授業を地道に受けたい人にオススメします。

道は険しいかも知れません。
本気度も分量も圧倒的です。


ですが、
私自身の経験談として、この本質を知らないままに何となくやっていたとしても、利益を生まない広告になる可能性はあります。

心理や人を知るという事は一筋縄ではいかないので、修行の如く本質から焦らず学ぶ事は遠回りではありません。
むしろ必要な道筋です。
やがて広告を見る目が変わっていくのを感じます。

加えて、物を売る経験があったらよりベストですね。

もしあなたが将来沢山の変化を味わい、広告の本質を学びたいのでしたら、是非ここを読んでみて下さい。

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本書の概要と評価。


ダイレクト出版

広告学部一年生。ペンで剣より強くなれ。

総合評価★★★★(4.8)
(理由は概要にて記述)


「どうも上手く伝わらないっ!」

「何も起こらない!」


そう感じた事はありますか?
私は事業をしていく中で日々感じていた事でした。

セールスレターを出したり、広告を打った時の事です。
パソコンの前で頭を抱えている自分に気付き始めていました。

デザイン事業をやっているから、仕事柄他人へのプレゼンテーションというものを普通レベルよりは鍛えてきたものの、いざ金銭に換える為の販売や広告になると、途端にやり方がよくわかってないまま。

全てが何となくだったり、デザインに酔いしれているだけだったり。

この本に出会う遥か前の事です。


仕事のおかげで広告関連の方達との交流もあったし、雑誌もよく読んでいたし、広告やフライヤーを頻繁に作っていたんですね。
今も続いていますが、当時のものを見返すとそう言える代物ではありませんでした。

今だから余裕を持って見直せるのでしょう。
学んだ分、粗もわかります。
この本の基本原理に沿っていない。


原理を知らないとスキルにならない。

そう思った私は、もともとダイレクト出版の事は知っていたので、ならば広告の作り方を学ぼうとしました。
売る為のスキルを吸収しようと購入しました。

専門職をやっている経験から、その論理は重々承知してきたからです。

更には、それまでも広告やコピーは好きであったものの、センスに任せるのではなしにもっともっと強固なものにしようと。

著者ドルー・エリック・ホイットマン氏の嘆き。

 

今の広告はなぜこんなにお粗末なのだろう?


そんな著者の嘆きで始まる本書を手にしたのですが、この本を読む時はいっその事、
広告学部の学生になりましょう!



入学したてのあなたが厳しい授業やカリキュラムを受けていく際のテキスト。一年次からじっくりと。
実践よりも、腰を据えて消費者心理学や販売心理学の勉強。


心理学に対してのあなたの興味の度合いは如何ですか?

心理に目を向け続ける事は広告のみならず、営業や対人関係等、全てに効力があると言っても過言ではありません。
だからこの必須科目を落とす訳にはいきません。

また個人的には心理学全般にも興味がありそれなりに読んできましたが、広告へのアプローチは初めてだったので楽しめています。

そもそも広告の本質が何故に心理学?



この本の一番の命題です。
そして知っておくべき原理。

著者のドルー・エリック・ホイットマン氏も冒頭でまずそこに触れています。


そもそも広告って何?
何の為に存在する?


その答えは、

人を動かすもの。
人に行動を起こさせるもの。

これに始まり、そして徹底。

原題は
“Cashvertising”。

広告を意味する”Advertising”と現金を意味する”Cash”を合わせた造語でしょう。

その真意は、
「金銭を生む広告」

購入に至ってもらう為に広告。
あなたもそれが目的ではありませんか?

そのつもりが無いなら読まなくていいとさえ著者は付け加えています。


広告のその意味を満たすには、人間の心理を理解して精通していないと作れない。
実際私も広告やフライヤー製作の経験の中でこれに異論はありません。
何かしら動いてもらう為に作り、動いてもらえなければ意味を為さないと感じてきました。

そうなると必然的に良い広告を作る事は心理学を学ぶ事に等しいという図式が出来上がります。
広告の本質は心理学。

人がモノを買う理由を理解するには、人について知り、人の本質というものに敏感になるべきだ。(p28)

 

消費者心理のパターン展開が有難い。


授業は続いていきます。

人間の心理・感情は簡単には出来ていないものの、深い考察を経て、人間の欲求や行動心理をシンプルにまとめ区切っています。
何度も何度も必要な箇所を振り返るには便利な構成です。

特に前半の著者が言う
「LIFE-FORCE 8」。

これは絶対に人間が反応せざるを得ない8つの本能を教えてくれています。



消費者は多くの場合、差し迫った必要性を満たすために決断するのではなく、将来の目的のために決断する。(p67)

 

大半の人間は変化を好まない。まずその事実に向き合おう。(p80)


ただそうは言っても注意しなければならない事があります。
心理学をマスターするのがメインではなくて、それを販売や結果に結び付けていかないといけません。

前半の心理のパターンで、人はどのような時に行動を起こすのかが挙げられています。
それを土台にして中盤以降ではテクニックと活用法。

  • セールスレターやダイレクトレスポンスマーケティング

  • コピーライティング

  • レターを開封してもらうアイデア

  • レイアウト(色彩やフォント)

等々

※ダイレクトレスポンスマーケティングって何?という方にはこちらのレビューで触れています。


売るシチュエーションについて
万遍無く書かれている周到さ。


それはあなたの勝ちパターンを増やす事。

少なくとも多くのパターンを体得して取り入れていくと、広告の捉え方が大きく変わったのは事実です。

加えて、セールスレターのみならず、SNSの投稿にも取り入れる事が出来るようにもなりました。

コンテンツマーケティングにも応用が効きます。

やや乱暴な言い方をしてしまうと、
心理操作の側面があるわけですから、如何に多くのパターンを知っておくのかが勝敗の分かれ目。
勝ちパターンを多く持つという事にも繋がると言えます。



そして最終評価は。


今後どの広告関連の書籍を読むにしても永く付き合っていける良書である事はお伝えしたいと思います。
時間が経てば経つほどかも知れません。

その理由をまとめると、
広告の本質や原理に触れているからです。

それは先も言いましたが、本質や原理を知る事が目減りしないスキルになっていくと経験上思います。
裏を返せば小手先の事は通用しないといった所でしょうか。

一つ難点は、
広告・コピーに取り掛かる時にいきなりこれを読むのも悪くはないのですが、注意しなければいけないかなとも思います。

何故ならば、



一度読んだだけでは難しく感じる事もあるかもしれませんし、イメージしにくい懸念があります。
それは悲しいかな、現実の人間と接する販売の経験等にも関わってくる部分です。

だから何度も振り返ってみる事で価値が増す。
うわべのテクニックでは失敗する。
いずれも経験で思います。

生易しい本ではありません。
私は3回目の読破でもまだ発見があります。
広告・コピーというものがわかり始めると、加速度をつけて面白さを感じている最中です。


そのような訳で★★★★(4.8)の評価をしました。

★一つ減らした一番の理由は、
★5つをつけてしまうと期待値が上がってしまい、広告が上手くなる本だと誤解を招いてしまうかもしれないと思ったからです。

消費者心理学の本。それを踏まえてのテクニック。
そして実践編ではない所です。
世間のレビューでは絶賛もあり、酷評もありといった所ですが、世間の思惑はともかくとして淡々と考察を進めます。

ここで「現代広告の心理技術101」を見たい

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広告は信用されないんだ。



この言葉は本書からではなくてこちらの本に出てきた一節です。

「ストーリー・ブランディング」


この本はブランディングをする為の広告やキャッチコピーの作り方に触れている良書だと思っていますのでオススメしています。

確かに広告というものは信用はされなかったり、忌まわしく思われたりする大前提はありますね。
そんな中作っていかないといけません。


あなたも良い広告を作って結果を出したいと思う一方で、逆の立場での広告への抵抗や不信感、あるいはある種の煩わしさも感じていませんか?
心にブレーキが掛かる事がありませんか?

もしそうでしたら、
そのジレンマ、わかります。

本書を読んでいく中で、露骨ではないのですが、その辺りのフォローがあったようにも感じます。
歯切れの良い文には安心感があり、心配するなと励まされている気が。

広告が邪悪になるのは、邪悪なものを広告しているときだけだ。(p21)


それらは取り越し苦労だと言わんばかりに真っ向から対立。

それはその広告が悪いだけだと。
良い広告を作れば良いだけの話と。

その為にあなたはこれを読んでいる。


「オレが真髄を教えてやるっ!」



時に発想が逆で、
信用されないものや退屈なものへの対策に加えて、上手く作るよりも下手に作らないコツも教えてくれているようにも感じました。

世の中の広告の愚かさを成敗してくれる!
著者はそんな使命感に燃えていますね。

ゴミ、ゴミ、ゴミの山だ! 私に言わせれば現代広告の99%はゴミである。(p14)


その使命感は頼もしく感じさせます。 


お洒落な広告もだけど、より訴求力のあるものを。


イメージ広告。


レスポンス広告。



広告にはこの2通り。
これから書く事は、ある意味広告へのスタンスを変えた出来事とも言えます。

私事ですが参考になれば幸いです。

あなたはビジュアル面の良し悪しで
広告を見た事はありませんか?


今までの私はどうしても広告をデザインやクリエーション寄りで考えてしまう所もありました。

勿論それもいけない事や間違っている訳ではありません。

深層で大切な事はその部分でさえも人を動かすだけの意味のある事が条件であるという考察です。


お洒落にカッコ良くするのもいいけど、そこにも心理的理由があると著者は言います。
この辺は個人的には改めてデザインの在り方を考えさせてくれたので感謝しています。

フライヤーやロゴデザイン等へのスタンスが変わりつつありますね。

そう思うとデザインからフォントや写真等を全てひっくるめて、心理への訴求と考えないといけません。
広告そのものの総合力を教えてくれました。


どちらかと言えばコピーライティングに重きを置いている本書も、抜かりなくフォントや色彩、更には構図、そしてフレーズの音節についても言及。

ただ音節に関しては、元々が英語の本なので、若干無理があってスッと入っては来ません。
額面通りに捉えるよりも、言わんとしている真意を見つけて日本語に置き換える視点・思考も必要と思いますね。

リズムや響き。

強いて言えばなのですが、
それぞれの項目を深めたい場合はまた別の書籍があっても良いかなと。
個人的には色彩やフォントに関する本も所持していますので特にそう感じます。


繰り返しますが、
概ね総合力の高さを感じさせます。

アマゾン等で酷評もあるみたいですが、
私は有効活用していますし、そこまで悪書だとは思えません。
まだまだ良いも悪いもお伝えしたい事があるので後編にいきましょう。

じっくり吟味。
一年次の勉強はまだまだ続きます。

もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい


広告学部一年生。ペンで剣より強くなれ。
「現代広告の心理技術101」を見たい

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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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