ガチで独創的なレビュー:「スコアをつければ組織は動く」(後編)


ここまでお読み下さり有難うございます。
前編からの続きです。

2分でわかるガチな概要は前編で。

総合評価★★★★(4.6)
(理由は前編の概要にて記述)



スコアキーピングで人も組織も動かせる。
スコアは、人の心を掌握し、組織に必要なことも明らかに出来る。

スポーツを参考にした働き方、
“THE GAME OF WORK”

その要となるスコアキーピングの考えは、そのようにして数字というものが持つ魔法を授けていくようです。向き合って考えれば考えるほど、その普遍性は人をも幸せにする力が秘められていると言っても過言ではありません。

ただ、安易に人を数値化するものではないので、本書で深い理解は必要となるでしょう。

数字という媒体を扱うことに違いはないものの、その理由や意義への深い理解は、今後も他の幅広い分野にも活かせるはずの概念です。


前編ではそんな数字の力と、コーチングや人心掌握にも役立つことに焦点を当ててレビューしました。

もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。

というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。 






人の心と数字の関係。

繰り返しになりますが、スコアキーピングは、安易に人を数値化するものではありません。

そんな中、一見、相反するもののように感じさせるこの2つ。
数字というドライなものに対して、流動的で移ろいやすい人の心。

本書で展開されるスコアキーピングというものには、バランス良くそれらが考慮されている心遣いも注目すべきポイントです。

著者チャールズ・A・クーンラット氏も生み出すまでに試行錯誤。
その上での行き届いたクオリティの高さは知って良かったと思わせてくれます。思っていたよりも数字万歳ではなく、
本書後半でも一貫して、人間の心との関係を深め追求していきます。

まだまだ盛り沢山。

スコアキーピングの考え方の延長線上には人心掌握やコーチング、さらには運営論。
前編でスポーツとスコアの本質を辿って来ましたが、そこからある大きな理念が生まれます。

それは何か?

スポンサーリンク

 

スコアキーピングで勝者を増やす。尺度を増やす。


すなわち敗者を減らす。
別の言い方をすれば、人の頑張り方は様々であるということ。

あなたにもあなたの頑張り方があると、本書は教えてくれます。

従業員が望むならは話は別だが、従業員同士を競わせないというのが、THE GAME of WORKの長年の方針である。私は、各運転手の目標の達成度を基準に評価するようなスコアカードを作るよう強く勧めた。(p128)

本書では一貫してスポーツの考え方からアイデアを取り入れてきました。
そのスポーツには勝負の世界という側面もあります。

伝統的な測定システムでは、勝者が1人生まれると、敗者も1人生まれる。(p155)

あなたもそう感じてはいませんでしたか? 心のどこかで。
ですが、本書にはそこを短絡的に考えることを良しとしない繊細さを感じさせるのです。



スコアキーキングは、単に勝敗を分けるものでもなければ、優劣を判断するためのものでもありません。
勝者を増やすという崇高な考えは、著者の強い想い。中盤の大きなポイントです。

前編に引き続き、ここで改めて考えて見ましょうか。
スポーツというものを。

勝者を増やすというのは具体的にどういうことなのか?
また、それらの考えが生まれたのには理由があります。

スポーツを別の角度から見てみると気付く。


スポーツはいろいろな事で表彰されませんか?

野球ならば、打率が一番高い人、本塁打が一番多い人、盗塁が一番多い人・・・というように。
あなたが好きなスポーツも思い浮かべてみて下さい。

そこには評価基準が沢山。
まさに頑張り方が様々。

やはりここも本書で一貫するポジティブな考え方が存在します。

そこで著者が取り上げるのが、マラソンの理念。
勝者は一人のはずなのに、何故皆とりこになって参加するのか?
実はこんな理念があるそうです。



1位の人は勿論、勝者。
さらには、完走した人や前回の記録を更新した人も勝者。
つまり参加者一人一人にその人なりの勝利と成功があるという理念。


言い換えれば、各々の目標の達成で勝者を増やしていくもの。だから、皆が勝者になり得る。

何て崇高!!!
感銘を受けます。


仕事に置き換えてみましょう。それが本書の使命。



マラソンのように運営されているだろうか? 勝者の数を最大にするようなスコアキーピングとフィードバックのシステムが確立しているだろうか? 大多数の人が進歩、成功、そして勝利する機会を与えられているだろうか?(p112)

そのようにして、勝者が増えてくれた方が精神的にも物質的にも利益になるのではないでしょうか。
逆に敗者を増やしても、何の利益にもならず、モチベーションが下がる懸念もあると言えます。

さらに、マラソンの理念は、自分に勝つことや自分との闘いを私たちに教えてくれます。

主観では、自らと闘える組織や人物には、ある種の強さや畏れを感じるのですが、あなたにとっては如何ですか?


コーチングや人心掌握に活かせるスコアキーピング。
こうしてスコアキーピングの最終目標に辿り着きました。
最後に、それをより力のあるものにするために権威付けしなければなりません。

そこで必要なものは?

スコアキーピングに必要なのは、プレーヤーの支持と熱意である。信頼性は正確さや理解より重要である。(p135)

つまり、

スポンサーリンク

信頼出来るスコアや基準の存在。


これこそが人も世も救う。
決して大袈裟な表現ではありません。

スコアは感情に左右されず、元来は公平で冷静な判断・評価をもたらすものです。
だからまず、目立つ人や声の大きい人が評価されるような理不尽さに本書は抵抗します。

この点を間違えないでほしい。感覚に基づいた主観的なデータではなく、本物のデータが必要なのである。何の根拠もなく、マネジャーの気分だけで、今月の最優秀プレーヤーを発表したりはしない。(p107)


さらにこんな雑学が登場して、あなたの考えやスコアキーピングの権威付けへの助力に。

  • 序盤でダウ平均株価の歴史が登場。
    ダウという人物が、かつて投資家たちに的確な株の情報を伝えるための新聞を作り、それが今では世界で注目される値となったことに触れています。

  • そして中盤で防御率の話が登場。
    野球のピッチャーの良し悪しを測る最良の基準とメジャーリーグで信じられています。


ここから得られる大切なことは2つ。



  • スコアや基準、そしてそこから発生する評価が、受け容れられるものであること。
  • それだけのクオリティを永く保っていなければならないこと。


そのように著者は警告しています。


重要なのは、彼らが何を信用しているかである。自ら作った、信頼できるスコアキーピングシステムを使う彼らは、当事者意識をもち、きっと生産性を高めるはずである。(p140)


たとえあなたの周囲だけであったり、ある会社の中だけだとしても、その中で受け容れられるに値する存在に出来ているかどうか。
それが大きな決め手となりますね。


すでにスコアキーピングがあり、それが関係者全員の意欲を引き出すポジティブなものであるならすばらしい。だが、もしそうでないなら、システムの変更と改善を考えるべきときである。(p157)


そこも見越して、本書ではクオリティの管理や浸透のための心構えも勉強出来ます。
手が込んでいる流れに感じさせますね。

やっと流れの最後の最後に作り方


手法そのものは重要ではなさそうに感じさせます。



ここまで読んで来ると、作り方は無限にありそうですし、それぞれのやり方も生まれるでしょう。
そもそも本書では、考え方と取り組み方に重点を置いていますね。これまでのおさらいのような趣も。


そんな中、著者が一番に強調するのは視覚化。
誰もが見てもわかる公平さはここでも一貫しています。

スコアカード作りの第一歩は、アクチュアルラインを引くことである。アクチュアルラインとは、実際のパフォーマンス、成果を表す線である。(p216)


読んだ感想としては、活字だけを追っていくのに難しさを感じていますので、実践しながらというところでしょうか。
その代わり、レストラン経営を例にしたりしてわかりやすさに努めている所は評価したいと感じています。



そして作った後は、どのようにコーチングに活かすか。

スコアキーピングがうまく機能しているときは、Wow!とHow?が明確に分かれ、それぞれのもつ意味がよく理解されている。(p221)


祝う価値があるかを表すWow!と修正の必要があるかを表すHow?
その新しい概念の使い方を、コーチングの締めとして本書はそっと幕を閉じます。

著者の実際の経験・・・目標とモチベーションの重要性を感じた珍しい経験と共に。
現状を変える
ヒントが詰まっているオススメの書籍でした。

最後に、ちょっと立ち読み




値段比較をしてみた。

まとめ。


スコアの持つ力とそのデリケートさはとても伝わってきます。

その一方で、本書の中での数字やスコアの存在は味付け程度のものなのかなと思わされてもいます。

それは何故か?


スコアというものは、実は著者が真に伝えたいことを表現するための媒体。
真意として、組織や人を隅々まで見る視野の広さや、気配り・目配り・・・そのようなことを伝えたいのだと思ったからです。

だからこそ主観では総合的に良書と思っています。
あなたにとっても得るものは多いと約束出来ます。マネジメントとしても良書。



ただ、スコアキーピングをするかしないかが問題で、積極的に使う予定が無さそうでしたら無理して購入する必要もありません。
ですが、スコアキーピングの概念を知らないままでいるのも非常に勿体無いと伝えさせて下さい。

数値を改めて考えさせ、現状を変える可能性は秘めています。

 
愛は地球を救うけど、数字も地球を救う。


最後に:


さて、スコアへのイメージが変わりましたか?
私は変わりました。

スコアというと、どこか殺伐としたイメージがあるのは否めません。
でもその殺伐さは、裏を返せば、感情に左右されずに公平であって、そしてまた万国共通。
誰が見ても明らかに判断出来る良さがあります。

その正直さや明確さが人を動かすのでしょう。

基準や尺度の重要性さえ気を付ければ、うわべだけで人をコントロールすることを良しとしない、人としての深さもあります。

そこでこんな本もオススメしたいですね。



「人を動かす」


人心掌握やコーチングを向上させるには欠かせない名著。往年の世界的ベストセラーです。

両書共に何となく宗教的な思想も見え隠れしている感覚に陥らせます。具体的には人への奉仕といったところでしょうか。そんな懐の深さを感じさせます。


※ガチレビューしています。

スコアは、公平さで人を救うし、時に正直さで傷つけもする。

ただ本書ではポジティブさに徹底。
より人の心に寄り添い、的確で効率的な人や組織の動かし方を教えてくれます。

そんな救世主と言っていいかも知れません。

愛は地球を救うけど、数字も地球を救う。

こんな記事も読まれています。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

ガチで独創的なレビュー:「スコアをつければ組織は動く」(後編)」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)