ここまでお読み下さり有難うございます。
前編からの続きです。
2分でわかるガチな概要は前編で。
総合評価★★★★★(5.0)
(理由は前編の概要にて記述)
ブレない厳しさと愛情、ありますか?
落合博満氏の言葉から、人心掌握や采配に必要な心構えを感じ取れる本。
底辺も頂点も味わった彼だからこそ見える世界。
その世界から出て来る名言の数々は、決して魔法でも作られたものでもなく、シンプルで理に叶った発想である事に気付かされていきます。
一元的ではない思考による、多くのプロセスを経て辿り着いた結論。
それらは誤解を招きながらも、先回りした愛情や思いやりに変わっていく。
そして最後にチームに浸透していく事となります。
更には覚悟。
前編ではそんな一元的ではない思考と覚悟に焦点を当ててレビューしました。
もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。
というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。
勝つリーダーシップと采配。
本書の前半で、育成やコミュニケーション、そして若い選手に投げ掛ける想いを経て、組織の統率へと話が移っていきます。
勝つ為の采配とは?
常勝軍団を築いた肉体的・精神的に成熟した大人の野球。
その裏側を読み進める心持にさせます。
そして成熟した土台があるからこその成熟した采配。
だから、育成やコミュニケーションにはまず、一人一人の自覚と成熟を目指す事。
彼らしいシビアさで展開されていた事が、ここで思い出されます。
基本的にそれらの考えにはブレがありません。
Contents
落合氏の秘密主義の核心は。
それはプロとして生き延びる為の術である。
印象に残った彼自身の現役時代の秘密のエピソードが一つ。
それからわかるのは、監督として采配を振るう今も、身をもって体感してきた経験が反映されている事。
では、どんな術か?
具体例の1つとして挙げていたのが、選手のコンディションを一切明かさない事。
その理由は、
選手の調子の良し悪しや、健康状態は選手にとって最大の資本であり企業秘密だから。
明かす事によって広まり、対戦に影響が出てしまったら、彼らの生活に関わってくる。
落合氏自身も今だから(引退したから)こそ言えるエピソードも挙げています。それが個人的に印象に残ったものです。
彼が続けるには、そのおかげで本塁打も量産して、45歳まで現役でいられたと締めくくっています。
ちなみにこのエピソードは、私は知っていました。
ですが、また別の角度からの深い考察が読めた事は収穫でした。
やはり一元的ではなかった。
更にその秘密主義を自身のチームにも広げていきます。
選手・コーチにも自らの腹は読ませない。
何を考えているのかわからない事に左右されるのではなく、やるべき事を見据えてやる緊張感に結び付けています。
顔色を窺う若い選手への忠告も。
勝つ監督の心構え。
自分で考えさせる。
秘密主義がもたらす効果はそんな自立心に行き着きます。
練習の段階で選手に染み込ませる手法が興味をそそりました。
あなたもこの出来事を覚えていますか?
その考えは全てあの時から始まりました。
それは、就任一年目のキャンプ初日に紅白戦を行った事。
私のやり方を批判するのは自由だ。しかし、見てもいないことを評価するのは論外だし、選手が壊れるかどうかはペナントレースを戦ってみなければわからない。私は単純に疑問を感じた。(p151)
彼が言うには、これこそが自分で考えるスタイルのスタート地点。
一見突飛に見えるこのアイデアも、長い目で見たら勝つ軍団にさせる為の意識改革からの着手。
あなたにも私にも、その思考プロセスは参考になると感じています。
新聞紙上で得た情報よりも一歩も二歩も組み込んだ考えを、本人の言葉で聞けた事が良かったですね。
突き詰めていけば、プロとして甘えになる芽を、理解させた上で摘み取り続ける。
野球を愛して、ひたむきにやってきた姿。
選手時代も監督になってからも一貫している姿。
私はそのように感じています。
読んでいても、
「本当に野球が好きなんだな」
その感情が沸き起こってきます。頑張らないといけないなとの気持ちにもさせます。
野球というもの、もしくは選んだ仕事に対して謙虚。
だからこそ彼が本当に怒る時というのは、プロとしての意識に欠ける事(それは審判にも選手に対しても)、野球を裏切るような判定やプレーがあった時だったなと記憶しています。
野球というスポーツに対して謙虚で勤勉であるその姿が、何より選手に伝わっていく事で、勝つ原動力や選手を采配する手腕の土台になっていったと感じさせます。
アナウンサー「落合さんを漢字一字で表すと何になりますか?こちらのフリップに書いて下さい」落合氏「漢字じゃなきゃいけないの?漢字じゃなかったらあるよ」
と一つの円を書く落合氏。
「円はどんな攻撃も受けないし、攻撃もしない。
これで十分でしょ。
オレは人を利用しないし、されたくもないし、穏やかで居たいし、
平和主義者なんだよ。」
あるスポーツ番組でゲスト出演した時のやり取りです。
もしかしたらご存知の方もいるかもしれません。
確かに乱闘シーンとかでも、決して加担するのではなく、必死に平和的に仲裁に入る姿も良く見ました。
純粋に野球が好きで、裏切りたくない姿。
争いを好まない、というか達観しているんでしょう。やり切ってきた人が持つ物と自分は思っています。
※円の概念は、こちらのレビューでも触れています。
落合氏の他の書籍。
「コーチング 言葉と信念の魔術」
こちらの書籍は本書の前作です。
面白いと思った事があります。
それは、この本で述べられている事が、「采配」の中では、監督になった事で進化したり、自身で考え直すようになったという所です。
主に指導法の具体例に焦点を当てているのが本書との違いです。
現役時代晩年とその後の解説者時代の話がメインとなります。
彼自身の進化や思考錯誤の跡が窺えます。
ここで、ちょっと立ち読み。
値段比較をしてみた。
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周知の事実かもしれませんが、電子書籍の方が割安です。
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また、前作「コーチング」の値段比較も載せておきます。 - アマゾンのサイト(検索済・紙の書籍)へ
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※情報は変動する事がありますのでご了承下さい。
また、混乱を避けるため、恐れ入りますが具体的な数値は載せないようにしてあります。
まとめ。
自立心。自分で考える。
相手にも考えさせる。
多くの名言の中の根底に潜む概念は一貫してこれだと感じています。
前作「コーチング」から、また進化した育成・指導。
プロが素人を教えるのではなくて、プロがプロを教える。
この究極の難しさ。そしてその人材を自らの采配で駆使する。
人によっていろいろなアプローチが出来る本かもしれませんが、私はそのような位置付けで読んでいました。
個人的には自らの事業にも絡んできます。
あなたにもまた別のアプローチが出来るかもしれませんね。
組織というものを考えた場合、強くする為には優秀な人材を集めなければいけない。
それは誰もが考えます。
では、仮に優秀な人材やエリートを獲得したとして、今度はそういう人材をどうまとめ上げるのか。
出来る人間にはそれなりの自負もあるだろうし、能力だけを欲しがるとリスクも孕んでいます。
采配を振るう側の力量。
これをまず上げていかないと説得力のある言葉は生まれてこないのでしょう。
言葉には思想と経験がモノを言うのは紛れもない事実です。
年功や肩書きだけで勝負出来るモノではありませんね。
その意味では、月並みですが、プロスポーツの世界で結果を残した人の言葉は心に響きます。
彼の言葉を聞いていると、残した成績のみならず、人としてのある種の畏れを感じます。
また、それこそが勝つ組織にまとめ上げた所以なのかもしれません。
勝つ為に、誰よりも自分と闘った将軍の言葉。
最後に:
見えている世界が違う。
それを彼のもう一つの才能だと片付けてしまうのは失礼かもしれません。
ただ改めて、落合氏の常に先を読んだコミュニケーション力の高さと考えを知る事となりました。
全ては生き抜いてきた人の洞察力の賜物ではないでしょうか。
更には、それを実践して結果に結び付けてしまう術は私自身もこれから考えていこうと思います。
実は野球のみならず、政治や経済等にも話が広がる本書。
それらにしても、野球のバッティングにしても、深い次元また常人とは見えている世界が違う。
表面の言葉だけで判断してしまうと誤解もあるのですが、それらに対して、実はこんな視点で考えていたんだよというのには唸らされます。
どうしても人は今持っている理解の範疇を超えてしまうと、拒絶反応をしてしまう生き物です。
彼を嫌う人の理由にはそんな思惑がある事も否定しません。
しかしながらよくよく考えてみると、どんな行動にも必ず彼なりの裏付けがあって、それが実に的を得ている事も事実です。
それは本質なんですね。
野球に対しても、世の中に対しても、
合理的に考えていて、原理主義者。
いつも思わざるを得ないのが、善悪という事よりも考え方に一切の無駄が無い。
だから本当は、高度なとか、
理解の範疇とかではなく、
近くにあって気付かない部分なだけのような気がしています。
彼がプロとしてあげる条件の一つに、
「当たり前の事を
当たり前にやるのがプロ」
がありますが、この一言に集約されますね。
当たり前の本質にこそ違う次元がある。
もしあなたが、采配のみならず、視点やコミュニケーションの当たり前が見えなくなった時、そっと彼が真髄への道を示してくれる。
そんな愛情を受け取ってみて下さい。
勝つ為に、誰よりも自分と闘った将軍の言葉。
「ガチで独創的なレビュー:「采配 落合博満」(後編)」への1件のフィードバック
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