これは反体制の本か。
それとも哲学書。
いや、啓発書。
まずタイトルに意義アリです。
お読みのあなたに最初に正直にお伝えしなければいけない事があります。
それは、「社長力」は全く関係ありません。
そして「社長力」を鍛える為の本でもありません。
では、どんな本か?
強いて言うならば「眼力」を鍛える本。
本物を見抜く人間になる為の啓発書と言わせて下さい。
これまで私は宗教関連の書籍も多く読んできましたが、宗教書のような趣さえあります。
もしかしたら今、あなたはこれらの表現に混乱しているかもしれません。
スッキリして頂きたいのでレビューしていきます。
どうぞ今回も読み進めてみて下さい。
本書の導入編でも、内容とタイトルのねじれについて触れました。
とまでは言いませんが、
原題は
“Beyond Counterfeit Leadership”。
サブタイトルは
“How You Can Become a More Authentic Leader”。
私は洋書の場合、真意を知る為に原題を必ず確認します。
著者が本当に言わんとしている事がわかった上で読み、レビュー出来るからです。
導入編でも触れましたが、
原題訳は
「偽物のリーダーシップの向こう側に」。
サブタイトルは
「どうやってあなたが正真正銘で威厳のあるリーダーになりうるか」。
原題の確認はあなたにもオススメしたいです。
本書はこのように「偽物」が非常に大きなキーワードでした。
Contents
本書の概要と評価。
「社長力を鍛えるリーダーシップの極意」
ダイレクト出版
あなたも今日から、違いのわかる鑑定士。
総合評価★★★★(4.1)
(理由は概要にて記述。)
実はこの本、ダイレクト出版の月刊新書にて送られてきたもので、自らの意思では購入していません。
月間新書一覧はこちら。こんな本がラインナップされています。
ああ、リーダーシップの本ね。
最初はそのままの、平凡な印象でした。
組織や人心掌握の話だろうと。
その類の書籍はこれまでにも触れてきたので、特別な感情はありませんでした。
一応事業はやってるしなと、原題を確認して読み始める。
すると、
「何だこれ!?」
冒頭の驚きとなった訳です。
でも書いてある事はかなり面白い。
最近巷にあるスカッとする話のような感覚に。
その理由は、
偽物な人物のオンパレードだから。
ただ、リーダーシップの話ではないのです。
出てくる事は出て来ますが部分的で、その前段階の倫理や道徳の授業のようです。
どういう人物が本物で、どういう人物が偽物か。
また人物のみならず、教育や芸術といった「物」への話にも触手が伸びていきます。
本物は・・・、偽物は・・・。
賢い者は・・・、愚かな者は・・・。
賢い人は自分を輝かせようとし、愚かな者は他者より輝こうとする。前者は自分の欠点を自覚し謙虚で、後者は他者の欠点を見つけて優越感を求める。賢い人は望みを、愚かな人は富を考える。賢い者は自分が満足できたときに幸せを感じ、愚かな者は他者から称賛を浴びたときに幸せを感じる。(p145)
ひたすらにその二元論でシンプル。淡々と。
その為、意外と読むスピードが速くなっていきます。
全体を通して、
あなたが本物になる事。
そして、偽者を見抜く目を養う為のお手伝い。
そう断言していいかも知れません。
そう思ったからこそ、
啓発書や聖書、はたまた宗教書のよう。
教祖様が伝える”本物教”。
それらをイメージして下さい。
でも、難解ではありませんでした。
闇が濃い者ほど光を恐れ、光が強い者ほど闇を恐れる。闇は無知であり、光は知恵だ。そうやって、人は光と闇のあいだを揺れ動く。あるときは真実や美徳によって魂が目覚め、あるときは罪や無知によって闇に沈む。(p131)
世間に一石も二石も投じているような印象です。
仮にリーダーシップの話に繋げるのならば、偽物やまやかしには誰もついていかないよとでも言っているのでしょう。
この考え自体は共感しています。
あなたが今、
ついていってるものや信じているものを想像してみて下さい。
例えば、
製品を生み出す仕事や芸術・音楽の分野でも、偽物だとあなたが感じたものにはついていかないでしょう。
好きにはならないでしょう。
そういったものにはファンもつかなければ、引っ張っていく事も出来ません。
概念としてはとても大切な事を教えてくれています。
そもそも本物とは何か。それを深く。
偽物論は多岐に渡る。
学問・芸術・教育・会社・・・。
その範囲の広さには圧倒されます。
そんなに世の中偽物が多いのかと錯覚も。
本物かどうかを確かめる五つのテスト
リーダーシップの手本を採用する前には、まず本物かを確かめる必要がある。(p84)
そんなものも出て来ます。
かなり鋭く切り込んでいくなと思う一方で、
「最近の若い者は・・・」
といったニュアンスの話も多く出て来ますので、気分を害する事も否めません。
新しい時代の幼稚な編集者が、古い時代のよき教育者に行うインタビューだ。この対話を参考に偽のリーダーシップの原因を見つけ出し、症状を治療する方法を考えてほしい。(p134)
鋭く真実に触れなければならない展開のリスクでしょう。
そして最終評価は。
好みは分かれると思います。
名言の宝庫ではありました。
様々な書籍や偉人の言葉の引用も効果的で、身に染みる感覚を覚えさせます。
ですが、こういった本を読んで、2通りのタイプの人がいるかもしれません。
「その通りだ、もっと言え!」
というタイプの人もいれば、
「何を偉そうな事言ってんだ!」
というタイプの人もいる。
そう感じます。
あなたはどちらですか?
シャープな質問だろうと思いますが、ただこれが一番の分かれ道です。
また、宗教や哲学のような話が続く事への免疫の有無が関係してきます。
私としては、面白い話だから啓発書としてオススメしたいです。
もしあなたが前者の場合は★★★★(4.5)。
後者の場合は★★★(3.7)。
そのような訳で総合★★★★(4.1)の評価をしました。
ここで「社長力を鍛えるリーダーシップの極意」を見たい
うわべに囚われるな。
本質を見つめ続けよ。
著者のケン・シェルトン氏の考えを紐解くと、概してその一言に集約されていく気にさせます。
またそれは俗物主義への嘆きだったり、物質主義への警告だったり。固執に終始する自己中心主義も然り。
「物」や「形」に対しての嫌悪感が感じられるかもしれません。
よくよく考えると、本書は洋書なんですね。
という事は、アメリカも日本も同じ悩みを抱えているのだなと気付かされます。
どこか脚色された報道番組や大人の事情のあるバラエティー番組には無い、生の声。
ここでデジャブが起こる。
世俗からの逃避と諦め。
良い意味でこの言葉を使いますが、個人的にはある事を思い出しました。
ご参考になれば幸いです。
それは、禅の本などに代表される仏教関連の書籍を読んだ時と似た感覚です。
円滑な人間関係の秘訣は、おしゃれな服を重ね着することではなく、見せかけや虚飾を脱ぎ捨てていくことだ。(p138)
あなたがその類の本が好きな場合はオススメしたいのです。
しかし、あえて否定的な見方をすると、本書は堅物に思えてしまう所もチラホラ。
真のリーダーシップに至るには、
自己鍛錬しかない。
本書の全体像を表した図。
一見するとわかりにくいですが、展開はこのサイクルを重視。
私も後になって気付いたので、最初はわからずにいました。
これがあなたが本物となり、偽物を見抜く為の重要なステップ。
難しいように感じてしまいますか?
噛み砕いていくと本書の展開そのもので、導入・原因・対策・結果と導く様子を表しています。
全ての章がその流れで統一。
この本では基本的に、原因は自分のなかにあるという立場を取る。偽物の原因が私たちの生活やシステムに深く根ざしている以上、”対策”には断固たる決意が必要になる。(p22)
具体的には、
- 導入として、今どのような現実となっているか。
- 原因や引き金になっている事は何か。
- 対策として、何に気付き、どう考え動くべきか。
- 結果、何が真実であるか。
全体を通して淡々と書かれていて、澄んだ悟りとでも言いましょうか。
落ち着きのある大人の書籍の印象です。
ただ一つ困った事が。
淡々と書かれているあまり、その流れや因果関係に気付きにくいです。
明確に区切っていてくれたら、後で振り返る事は無かったように思います。
内容そのものには面白みを感じているので、そのメリハリが欲しかったですね。
見抜く方法論に加えて、心の鍛錬と向き合わされ続ける自身に気付くかもしれません。
またそこを耐え抜く事そのものが、著者から試されているもう一つのテストと考えても面白いでしょう。
本物なら最後まで読めると。
ならばその挑戦状を受け取りながら、後半へとページを読み進める私がいます。
もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい
あなたも今日から、違いのわかる鑑定士。
「社長力を鍛えるリーダーシップの極意」を見たい
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「ガチで独創的なレビュー:「社長力を鍛えるリーダーシップの極意」(前編)」への7件のフィードバック
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