ガチで独創的なレビュー:「ひとを動かす技術 ボブ・バーグ」(後編)



ここまでお読み下さり有難うございます。 
前編からの続きです。

2分でわかるガチな概要は前編で。

総合評価★★★★★(5.0)
(理由は前編の概要にて記述)
 


真の導く人の秘密とは?


読み手のあなたを飽きさせない本書のストーリー仕立ての中に数多く見つけられます。



主人公の青年ベンが立ち向かう会社の大きなプロジェクト。

そこにはただの一会社員の仕事にとどまらない人心掌握・リーダーシップの基本原理が盛り込まれ、各シーンをイメージして情景で把握出来る利点があります。

教訓が含まれた、まるで映画のよう。


前編ではそんな物語である事を重点にレビューをしました。

もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。
というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。



3回目。

これが何の数字だかわかりますか?




私が本書を読んだ回数です。

知らないよと言わず。

これからも増え続けると思います。

それはともかくとして、何が言いたいかと言いますと、
何度読んでも戒めや癒し、そして発見がある事です。


前編でお話した「敵対は無意味」という概念も、回を重ねるごとに脳裏であらわになっていった経緯がありました。
読む度に雲が晴れていくような。

あなたの中で、この内容の実践や心への定着には時間が掛かるかも知れません。
私も例外ではないからこそ何度も何度も。

ですが、意外な部分に気付いていくその度に、まだまだな自分を感じながらも、
心の充実感を受けている事実がそこにはあります。


読み進めていくと、主人公ベンを見守り助言をするキーパーソンが出現。
本書が物語である為に、答えをあえて出さずに考えさせるスタイルを如実に体現するような人物です。


あなたに考えさせる愛のカタチ。

 
このように本書の帯には書かれています。

「ひとを動かす」為の思考回路は、逆転の発想の連続です。

その発想を気付かせていく人が、登場人物の中のキーパーソンであり、主人公の助言者でもあるエルおばさん。
ベンが行き詰る度、穏やかに相談に乗ります。



謎めいた人物のように描写される彼女は、実はタダ者ではなかった。
ラストでその素性を知る事となります。

その彼女の言葉は一見、禅問答のように遠回し。

前編で触れたように、そこにまどろっこしさを感じるかもしれませんが、これに本書のミソが。大ミソです。
遠回しのようでありながら、結果として核心を突いていくのに気付かされるでしょう。

あなたも主人公ベンも。
皆、頭がフル回転。
これこそが考えさせる術なのかもしれません。

物語としてまとめたボブ・バーグ氏の狙いもそこにあるのでしょうか。
その人に考えさせて、自らの手で答えを出す事。

ベンも答えを出そうと必死になります。ひらめいていく度に、彼の成長が。
脳が汗をかき、深くなっていく感覚を覚えていきます。
何度読んでも、未だに私にも発見がありますね。



考えさせる格言は。


どれもが無駄なく有益ですが、もっとザックリと分けるならばポイントは3つ。

  • 一人称の考えを無くす(自分本位を捨てる術)。

「いまの話の中で、だいたい何回くらい”僕”という代名詞を使ったかわかる?」(p65)

 

  • 信頼(この人の為ならと思われる術)。

「人は相手が何を信念としているか、それを知ってはじめて相手を信用する。
ベン、あなたの立場は?
あなたの信じる価値観は何?」(p174)

 

  • リーダーシップ(人がついてくる術)。

「リーダーシップとは、洋服のように着たり脱いだりできるものじゃない。
人に影響を与える力は、劇のセリフのようにリハーサルできるものじゃないのよ。」(p182)



読み返す中で、個人的にはこのように捉えています。

これらが物語の時間の流れと共に、一冊でまとめられている点は有難く思わされますね。

台詞も印象に残るものの数々です。

大きく難しい交渉を任されたベンの成長を見守りながら、ラストへ。
難交渉もいよいよ結末を迎えます。

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感動の(?)ラストはご愛嬌。


出来過ぎた感じは否めません。
ちょっとどんでん返しもあり。

ただこれまでにお伝えしたように、そこに至るまでの人々の心の変化や人間模様を読み取っていくのが重要です。
これが物語の利点。

当初はかたくなに待ち構えていた交渉相手。
その誰もが健気な主人公に心を打たれていく。

こうして動き、振る舞っていく事で、人(の心)を動かす事になるのだなとの総決算。
大きなプロジェクトの交渉という題材はベタかもしれませんが、交渉だからこそ動かす為や説得するにはどうするかが、手に取るようにわかりやすい印象を残していきました。

感情移入もさる事ながら、脳裏にイメージ、そして心にもスッと入ってきます。

2時間の映画なら、このラストはさしずめ残りの20分という所ですね。



謙虚に学び、健気に行動する。
そんな主人公の姿はカッコいいと思います。

その様そのものが本物のリーダーシップと言えるのではないでしょうか。

人の心が動くのは、一朝一夕に成り立つような簡単なものではないと言い聞かせています。


ここで、ちょっと立ち読み。




カーネギー氏の世界的ベストセラー「人を動かす」と比べると、本書は短編の物語風なので文章の量は圧倒的に少ないです。

どちらも良書です。

 

値段比較をしてみた。

 

まとめ。


ひとは動かない。

私は基本的にはそう思っています。

あなたはどう思いますか?



もう少し言葉が必要かもしれません。

正確に言うと、動かないとも言えるし、動かす必要は無いのかもしれません。

本書を読んで、実は物理的に動かす事が重要なのではなくて、
タイトルとは裏腹に、動かしたい相手の思考を促す事が一番大切なのかなと感じています。

人の心にも物理が存在します。

だから押せば跳ね返るし、引けばわずかな力で動いたりする。
まるでテコの原理のように。


登場人物の中の助言者であるエルおばさん。
彼女の言葉にはそんな物理的な考えが垣間見れました。

また全体を通して、
言葉の語源(英語ですが)から答えを導かせる彼女の思想にも、知識の広がりや深さを提供する助力にもなります。

組織の在り方やリーダーシップ、そしてもちろん人心掌握。
その内容がわかり切った今でも振り返る事が出来るという事で、概ね高評価をしました。

ボブ・バーグ氏の書籍はしばらく読み続ける事になるだろうなと自分では思っています。



ビジネスをしたり、生きていく上でいろいろな方が現れると思いますが、
自らの人格を形成して精度を高めていく努力を怠らなければ、どういう状況においても動じる事は無いと言えるでしょう。

大和書房


答えをあえて出さない愛のカタチがここに。




最後に:

答えをあえて出さない愛のカタチ。

読んでいる側に思考を促す構成は、それこそが読み手の心を動かす構成でした。


物語なので、決定的な答えや具体的なハウツーはありません。
それを求める場合は他の書籍が良いかも知れません。

今となれば、著者のボブ・バーグ氏も、手法を教えるよりも考えさせる力を養う人材にする事が、人を動かす技術をマスター出来る人になると考えているのかもしれません。

考える事の出来る人や、それを厭わない事が人を動かす能力を得る。


読んでいくうちに、そのふるいに掛けられている。

こういう本に免疫のある人も無い人も皆が平等に読み込め、所持し続けられるそんな本でした。

実践する中で面白さも感じています。
一朝一夕には成り立つようなものではないですが、
あなたにとっても人心掌握への第一歩として大きな扉を開けてくれる事を約束します。

答えをあえて出さない愛のカタチがここに。
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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