ガチで独創的なレビュー:「ストーリー・ブランディング」(前編)



新たな発見はある本でした。


ブランディングとしては勿論の事、広告やコピーにも活かせる内容です。




ただ、いきなりは薦めません。


どうしてかと言うと、
ブランドやブランディングの本は、元々が好みが分かれる分野であるという点と、仕事柄必要かどうかという点で捉え方が異なるからです。


ちょっと現実的な視点から始まってしまいました。

本当は、度々このサイトでも記事の中で取り上げていますように、
ブランディングというのは知れば知るほど、深めれば深めるほど強力な概念です。

そして、メリットだけを伝えるものでもありません。
個人にも組織にも使えます。

導入編では、ストーリーで売れた私自身の体験談も交え、その重要性について触れました。

ダイレクト出版の新刊「ストーリー・ブランディング」を速攻読んでいる。

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ブランディングの本の落とし穴は。


ただ、セールスの本とかと違って、

見た目には成果がわかりづらいし、
時間も掛かるし・・・、
観念的・精神的な要素も強いので忌まわしく思われるのかなというのも否めませんね。



日本でこの言葉を聞くようになったのは、少なくとも私の記憶ではここ20年くらいでしょうか。

歴史を辿れば、西洋で生まれた概念です。

あくまでそんな部分を踏まえた上で、皆さんが普段行っている仕事や事業の存在意義を確かめる為にも、
ブランディングの思考法は、ブランド仕事をしている人間からのメッセージとして一読をと感じています。


実は、気付かないだけで、案外身近なものだったりします。
 


この本の概要。


ダイレクト出版




総合評価★★★★
(理由は概要にて記述。)

実はこの本、ダイレクト出版の月刊新書にて送られてきたもので、自らの意思では購入していません。
でも良かったと思っています。


内容は高度な部類・・・というと語弊がありますが、

これまでにブランドやブランディングの本や概念に触れてきた経験が無いと、
意味を為さない本になる懸念はあります。


決してそれは偉そうに言うのではなく、段階を踏む事が経験上大事かなと思うからです。
かく言う私もそうでした。

侮れない、「ストーリー」というキーワード。

様々なマーケティングのメルマガや書籍でも、同様に「ストーリー」については言及していて、
セールスやブログなどのネットビジネスにおいても頻繁に出て来ます。

「もういいよっ!」ってくらいに。

そんな中、そこだけに焦点を当てたこの本に、興味を持った経緯があるというわけです。



そういう流れを振り返ってみて、割りとブランディングに関する書籍の応用編という感じがしています。

応用として、ストーリーで戦略を立てようじゃないか!という意味合いです。


そう思うと、この本自体を最初に読む事も決していけなくは無いのですが(良書ですので)、
触れた事の無い方がいましたら、
まずは根本のブランディングとはの基本編を読んでみても良いかと思っています。


ちなみに私が改めてブランドを学ぶ上で触れてきたものの一部です。

ガチで独創的なレビュー:「利益を生み出す熱狂ブランドの作り方」(前・後編)

ブランドビジネス―成功と失敗を分けたもの

ブランドの条件



広告やコピーライティングにも話が展開のうまみ。

・・・では、ブランドやブランディングを踏まえた上ではどうか?

意外だなと思ったのが、
ブランドのストーリーを語る為の広告戦略やコピーライティングにも触れている所で、汎用性は高いと感じましたね。

こういう触れ方をしているものは無かった。
大抵ブランディングの本はブランドの概念やブランディングのみに傾倒する事が多いです。


そんな中、これはヒジョーに有り難い。

最後の方はほとんど実践的な広告・コピー関連の展開でした。


人は何故、物語だと熱中するのか。

本のテーマが、ストーリーによって共感を呼び、
理念・信念や価値観を共有する方法というそれ一本で、

その内容の絞り方と展開法に著者のジム・シグレノリ氏の強固なポリシーが伝わってきました。

そのお陰で内容にブレが無く、理解しやすい利点がアリ。


まず、ストーリーというものの必要性から始まり、繰り返し述べられています。

広告には見向きもしないのに、人は何故物語に熱中するのか。引き付けられるのか。
本書で一番知っておくべきは、その利点と効果。


多くの企業を例にとっています。

そして最終評価は。

ストーリーというと、よく会社のパンフレットにも書いてあったりするので、

「なんだ、そんな事か」 

と思う方もいるかもしれませんが、

マーケティングとしての地道で大きな戦略でもあるので、それらの作り方から活かし方までに深く言及している所に好感が持てました。

一部トレーニングブックのような側面もあり、これ一冊でストーリーブランディングを行っていく流れです。

全体的にブランディングと広告を結び付けてもいます。


そんな訳で、広告関連としても役立ち、
わかりやすい丁寧な考察・事例に非常に良書の印象を持ちました。
特に欠点は見当たらないので、★★★★★の評価をしました。

手元に置いて、もうちょっと勉強をと考えています。
同様に遥かにかなりの熟練の方にも得るものはあると思います。


ストーリーの根本的な意味。



ストーリーと言っても作り話をセヨという事ではありません。
確かに作り話が上手い人はセールスが上手という事実はあります。


ストーリーを作るにあたり、事実や理念、スペックや特徴などがほぼ全て一致した状態でなければならない事を著者は言っています。



わかりづらい表現かもしれませんが、
例えばある会社が、それまでの白黒からカラーテレビという製品を売り出す時に、

「私たちの会社は白黒のテレビを見ている時に、実際の生活と同じように色のある世界を見たいと思いました。


これが抱いた事実。

「そこで我が社が掲げる、常に新しいものを提案する約束から」

これが理念。

「白黒だけではない、色の付いたテレビを開発するに至りました。色が付いているだけでなく、その理念に基づき、これまでにない軽量化も努めました。」

これがスペックや特徴。

これらの一連の流れが無駄なく一致していないと、それは誇大広告や詐欺になる。
それよりも一貫性が信用を生む。

色のある世界を見たいとも特別思わないのに、作ろうとしてもボロが出る。

それは人間自体も同じかもしれません。
思想と感情と言葉と行動が一致している人は信用されると私は思っています。




それに加えて、一致させた上でストーリーで売るという事の根本的な意味は・・・。

主義を売る。

理念を受け取ってもらう。

ブランディングというものが捉えられにくい事の一つに、
このような観念的な事が理由として挙げられます。

著者も
「そんな事を話し始めた時点で、皆席を立つだろう」
と言っていますよ(笑)。


これらをまとめると、
かつて童話や物語に一番言いたい理念や教訓がほのめかされていた様に、
ストーリーで売る事の最大のメリットについても多く述べられていて、


ここは私も共感するのですが、
ストーリーは理念が受け容れられやすく印象に残りやすい事と、
主義や価値観を売りにする事は、どのジャンルのどの商品でも闘えるという事なんですね。


一例として、ジョブズ氏のアップル社を始め、ナイキや多くの有名企業を取り上げています。
それと対比させるようにゼロックスやバーガーキングが違う商品やサービスを始めた時に失敗した理由についても取り上げています。




アップル社は何故、多くの商品で売り上げを出したのかは、その理念の汎用性にあって、

Think Different.
(違ったふうに考える)


という企業理念を売って、共感を得ていたから。

(個人的にはジョブズ氏のプレゼンなんかも見てみたいですね。
恐らくはストーリーの流れのように話していたのかなと思います。)


ゼロックスはコピー機から抜け出せなかったのは、商品を売っていたから。
コピー機以外の参入には障壁があったと。

例えば日本では「とらや」が羊羹以外で、プリンを売るとなったらどうなるかって感じですね。
理念よりも商品のイメージが強いので苦戦すると個人的には思います。

本書ではそのようにストーリーの重要性から始まり、理念とキャッチコピーの重要性に言及。




私はデザイン業をやっていて、
これはいわゆるコンセプトを作る事(コンセプトワーク)だなと感じました。


どの商品も起業も、
何故やるかという理由
から始まって、理念が一致して、その信念や企業価値観の下に作られていれば、どの分野でも共感が得られて成功する。



日本ではコム・デ・ギャルソン社が成功例の一つでもあるかもしれません。
やる事が徹底してます。

魂胆というコンセプトをハッキリさせる事は大事ですね。
そしてそれが生まれてきた由来。


状況としては、新規参入や新商品を考えている方には、この本は読んでみる価値はあると思っています。
私も自身の事を読みながら振り返って見直していました。


 

内層と外層がテーマ。

 
特徴とメリットが内層の証明として働く。(p143)
 
外層の役割は、ブランドへの信頼を育てることである。(p149)
 

何のこっちゃ?

と思うかもしれませんが、ある意味これがこの本の大きなテーマとして隠されていると感じます。
あの本思い出しました。

ブランドもプロダクトも内層と外層が存在して、対処するという捉え方。


内層がストーリーとして語っていくべき理念。
外層が特徴やメリット。

その内層と外層も一致させていく。


この捉え方の話は「現代広告の心理技術101」にも出てきてまして、
脳の中心回路と周辺回路という言葉で表されています。

人は脳の中心回路を通った時に買うと。ファンになると。
物事の「核」って事ですね。

※この本のレビューもしています。人気の図書です。
ガチで独創的なレビュー:「現代広告の心理技術101」(前・後編)


・・・2つを組み合わせれば、中心回路を通るように導いていくストーリーを考えるという事でしょうか。

後半部はブランディングと広告をマッチさせながらの話になっていきますが、これが内容の濃さとともに非常に面白いです。

いろいろな分野を上手く繋いでくれている本だなという印象です。

もうお腹一杯かも知れませんが(笑)、広告・コピーの話へと移っていきます。





追伸:
後編で、広告に関するお得な話や類似した書籍について掘り下げたいと思います。
ちょっと立ち読みもあります。

吟味して、あなたの人生にとって良書に出会って下さい。
それがこのサイトのポリシーです。

まず後編で立ち読みを見たい

「ストーリー・ブランディング」を見たい
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