個人的に気になった所ですが、
デザイン的視点で参考にして頂ければ幸いです。
恐らくここを訪れたあなたはこのベストセラー
「現代広告の心理技術101」
の事はご存知かと思います。
これまでにもこの本の事に触れる記事も多く作成してきましたが、そのいずれもがどちらかというとコピー寄りの内容でした。
つまり活字の世界の事ですね。
実際に、本の内容そのものも活字の世界に傾倒したものが多いです。
ただ、一部デザイン面に触れている事も忘れてはいけません。
色の使い方やレイアウトについてもキチンと書かれているので、デザイン業を営む私にとっては、また一段と実践してみたくなる気持ちも起こさせてくれます。
今回は再びこちらの後日談から。
実践していく中で、リアルで気になったヴィジュアル面のお話をお伝えしようと思います。

下の画像にある白黒反転という行為。
本書には幾つかの広告のタブーが載せられています。
それは広告的に見て効率が悪いかどうかの判断で、この反転という行為も一つのタブーに分類。
私自身もイラストレーター等でフライヤーやDMを作る中で考えています。
反転はいろいろな意味でリスクが大きいと。
それは何故か?
その話に行く前に実際の画像を例に取ってみます。
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反転というものは?
まずこちらの例をご覧下さい。
反転というものはこれです。
上が普通と言われているもので、その下が反転させたもの。
これは別に白黒というモノクロの世界だけの話ではありません。
概念としては、「濃い色」「薄い色」という分け方をします。
そうすると、
上が、薄い色の下地に濃い色を使用した文字。
下が、濃い色の下地に薄い色を使用した文字。
という言い方が出来ます。
Tシャツのプリントを始めとする印刷の仕事でも同じ概念ですね。
上の方は白がベースなので見辛いかもしれませんが、2つとも同じ原型を使い、全ての物が同じです。
白黒反転がタブーの理由のいくつか。
あなたは見かけた事がありませんか?
ブログやHPで反転させているものを。
先ほどの例にもあるように、濃い色の背景に薄い色で抜かれた文字で作成されたものを。
私はたまに見かけます。そしてまた、大昔にやってしまった事がありました。
そのようなものに出会った時にどう思いますか?
これは私の主観ですが、読む気を無くします。
何故ならば、目が疲れるからです。
私がやってしまった時も、同様の事を言われた経験があります。トホホ。
一方で、
著者のドルー氏の言い分は。
読みづらいから。
その検証の結果も本書に書かれています。
具体的な一例として、
読むスピードも落ち、何秒遅いというデータも丁寧に出されていましたね。
本書自体、広告学なので様々なデータから立証されているガチな内容だと思わされます。
ただ、上に挙げたこのサイトのバナーの場合だと文章も短いし、そんなに影響は無いでしょう。
新聞等も一面の見出しは反転させて短く載せていますしね。
反転させる時の理由は。
ドカンと一瞬のインパクト重視。
そもそも読ませる為の理由ではありません。
魅せる・気を引くという部分では大いにありだと思います。
ですが、個人的にはドルー氏の言い分を考えても、それだけかなと思わずにはいられません。
あなたは如何ですか?
読んでもらうという視点で考えれば、内容を吟味してもらわなければならないので、伝わりづらい・読みづらいのはタブーで無意味なものになるという事ですね。
更に彼が言うには、
そもそも人間の視覚は、白地(薄地)の上の濃い文字を見るように出来ているとの事です。シンプルに。
視力検査のあのボードも同じ事が言えます。
土台として見やすい状態にしておく事が大事。
次に、本書の中には無かった反転のデメリットをいくつかお話します。
これは私の体験の中で気付いた事です。
超現実的な視点でのデメリット。
黒地(濃い色の土台)は、単純に考えてインク代が掛かる。
ならば、色の付いた紙にすればいいんじゃない?と思うかもしれません。
元々濃い色に薄いインクは乗りません。
インクの分量を多くすれば可能な事もありますが、果たしてそこまでする意味があるのかどうか。
Tシャツのプリントでも原理は同じです。
黒色にプリント柄をする時は、最初に白の土台をプリントした後に希望の色を載せるプロセスもあります。
そうしないとハッキリとした色で乗らないからです。
また、場合によっては黒地の方の色をあらかじめ抜いておくという手法もあります。
これらのいずれもコストも労力もかかりますので、そうして出来上がったものはそれなりの値段になるでしょう。
逆にこのような工程を省略して、そのままハッキリと色を載せるにはかなりのインク量が必要です。
またカスレ等による、クオリティーの低下の可能性も否定出来ません。
一筋縄ではいかないのがおわかり頂けるかと思います。
そしてもう一つ。
反転させると、モチーフの大きさが変わって見える。
ロゴマークやフォントを作る時に気付いた事でもあります。
わかりやすい例として、
あなたは黒い服を着る事がありますか?
一般に言われている事は、濃い色の服を着ると良くも悪くも締まって見える。
薄い色だとその逆で、ボンヤリするから膨らんで見える。
その視覚的な考えにも近いかもしれません。
ロゴマークなども、白黒反転させたものはバランスが変わってしまう事が多々あるので、反転の時は無意識のうちに細工をするという手段は取っていました。
フォント(文字)の場合だと、縁を少し削ったり、逆に太くしたり。
様々な場面で使われる事を考慮した上で製作する事もあります。
上記の画像のように、同サイズの○があって、反転させた方の左の丸の方が大きく見えるとか。
こんな実験みたいなものもありますよね。
人間の錯覚の利用。似たような事なんだと思います。
シンプルに考えれば考えるほど。
広告的に見れば、
反転という事にインパクト以外の特別なメリットは感じられません。
このサイトも、他の記事のリンクの時にはこのように反転じみたものを使用していますが、一瞬目に止まりやすくするという理由のみです。
本来は白地の紙や土台に、ドカンと黒か赤で書いた方がよほど目立ちますね。
目にも優しい。ユーザビリティーにもいい。
いろいろやってみて、人間はよりシンプルなものの方が訴求力があると、そこに行き着いた感じはします。
仮に反転を使う時も意味をわかった上で、適材適所で。

一見、活字の世界だけに言及しているような本書も、人間の視覚的な事も欠かさず触れている事には価値を感じさせます。
コピーライティングだけではなく、ビジュアル面も。
特に私自身がデザインに関わる事をしてきたのでそう思わずにはいられません。
人間の五感全てが結集して、訴求力のある効果的な広告が生まれるのだと実感します。
またそれは感じ続けなければいけない戒めです。
「現代広告の心理技術101」を見たい
その前にガチレビューを見たい
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