ガチで独創的なレビュー:「広告の魔術」(後編)



ここまでお読み下さり有難うございます。
前編からの続きです。

2分でわかるガチな概要は前編で。

総合評価★★★(3.5)
(理由は前編の概要にて記述)



広告界の巨匠6人の伝説の名著がこの一冊に。

その便利さはあるものの、まとめてしまっているが故に、どうしてもこの本でなければならない理由もあなたの心に残るかもしれません。

著者は彼らの仕事に敬意と愛情を持ちながら、古い時代に編み出された広告・コピーのノウハウを現代版として甦らそうと苦心しています。

もしあなたがこれまでに既に広告関連の書籍にいくつか触れてきているのならば、面白さを感じつつも、知っている内容になってしまうのではないでしょうか。
その場合はむしろ、これまでの書籍を大切にすればいいと思います。


前編ではそんな名著のまとめであることと、コピーに必要なことに焦点を当ててレビューしました。

もしあなたが本気で知りたいという場合、ここからお読みでしたら、
まずはより良い伝達の為に前編の概要を読む事をオススメします。

というか、いきなり後編を読んでもあなたのお役に立てないのです。 






広告・コピーで大切なことは?

6人の仕事論、主にコピーへの心掛けから入った本書も中盤から終盤にかけて、具体的なコピー作りと、それを使ったマーケティングへと入っていきます。
やはりどうせなら偉人の手を借りて、コピー作りの核心に触れたい。

そうして、ヘッドラインの作り方でテストの重要性を説いてからというものの、その後は一貫してそのテストの重要性が陰のテーマに見えてきます。

テスト、テスト、テスト、と。
まるで横着するなと言われていく感じに。

やはり名著の引用は続き、著者のクレイグ・シンプソン氏とブライアン・カーツ氏の解析・解説が続いていきます。
他に大切なことは?

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広告・コピーを作った後は。


それらをどのように活かしていくか?

良い広告もコピーも活かし方を知らなければ宝の持ち腐れです。
一応、最後の3分の1のPart3では、マーケティングの話へと展開。

とはいうものの、実はあまりマーケティングの話は出て来ません。戦略という感じもしません。

では何が書かれているのか?


 

第8章以降では、読者のレスポンス率を高めるためにどのような工夫をすればコピーの効果を上げられるかという点について、伝説的広告マンの意見を見てみようと思う。(p178)


Part3の一番最初ではコピーを書くにあたっての創造力の高め方が登場。

それはマーケティングに関係があるのか?
これはコピーを書くためのPart2に入れて良いのでは?
そう思いつつページを進めます。
 

シュワルツは、作家のスランプを克服する彼独自の方法は禅に基づいていると述べた。禅についてはよくわからないが、シュワルツが取った方法は実は理にかなっている。基本的に、彼が執筆を進める方法は簡単でほとんど自動的なので、思考もクリエイティビティもほとんど要求せず、心の中の不安に邪魔されることもない。(p180)


実際に登場するのは、このようにシュワルツの仕事の取り掛かり方や、ハルバートが伝えるクリエイティビティを育むことの大切さ。



確かにそれらも不可欠なものとわかりつつも、序盤で触れてきたので、改めて知る必要も感じられず。マーケティングの中での広告・コピーの使い方を偉人から速く知りたいと願う私がいます。

具体的にどう使っていくんだ!?と。

お読みのあなたにとってはどう感じさせるでしょうか。


本当にすぐれたコピーライターは、商品を売ろうとしている相手と積極的に「親密な関わりを持つ」べきだ。(p188)



ちょっと余談ですが、この辺りで出てくるこんな心掛けは、こちらの書籍のコンセプトにも繋がっていきます。



「アンマーケティング (UNMARKETING)」


関係を持つことがそのままマーケティングになっていくというコンセプト。

マーケティングを特別視せず、専門の活動も余計なコストも要らないということです。関わることだけが全てを解決すると言っても過言ではありません。


さて、Part3のマーケティングの章。先ほどこう書きました。
マーケティングと表現されているものの、実際にはビジネスの匂いはそれほどしない、と。

やっと使い方の場面に入ると、もっとシンプルな解説が待っています。

レスポンスを増やす方法。


ほぼ、そこのみに強く焦点。


それは何故か?
  

買い手から大量のレスポンスを受け取らなければ、広告は成功とは言えない。そして、その”レスポンスを計測する”ことがジョン・ケープルズの目標だった。(p229)


トドメとも言えるこの台詞。
マーケティング云々もだけど、レスポンスが全てだから。そう断言。
レスポンスのためにやって、レスポンスが全て解決する。

そのレスポンスを増やすために取り上げられているのが「広告のレスポンスを増やすケープルズの32の方法」



ハルバートの方法論も登場したりと盛り沢山です。
やはり広告の良し悪しを決定するのはレスポンス。ケープルズとハルバートの話を読んでいくにつれ、引用元の名著も読んでみたくなる悲しいサガが再度訪れます。

ただ、レスポンスには答えが無いので、

レスポンスを増やすために、メッセージの伝え方はいくらでも変えられる。(中略)もっと大きな成功を手に入れるために、新しい道を切り開き続けよう。(p226)

 

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リサーチ・テスト・工夫の繰り返しが成功する広告の王道。


加えて、気配り。

リサーチの必要性は序盤からずっと語られてきました。

そして、中盤以降もそれとペアで重要性が語られていくのが、テストというもの。
主観ですが、抱いた印象としてはそれらの強調のされ方は異常にも感じさせました。もはや刷り込みに近いと言えそうです。

勿論、その理論自体は正しいこと。異論はありません。
本書によって改めて実感させてくれます。



終わりへと向かうその中で登場するのが、オグルビィの「リサーチがもたらす18の奇跡」。
  
マーケティングは難しい分野だ。意見や感覚に基づいて意思決定しても、その分野での成功は期待できない。人々に商品を買わせるには、彼らが何を考え、何を好むか、彼らの関心を引き、彼らの猜疑心に勝ち、心をつかむには何をしなければならないかを知っていなければならない。これらを確実に知るための方法は、リサーチしかない。(p244)

人を相手にしていくからには工夫と気配りが如何に差を付けるかがカギになる。そう教えられるように感じさせます。

最後は「結果を出す10の教訓」。


全体を通して悪書だとは決して思いません。
面白い本でした。

しかしながら、手っ取り早さとスッキリ感を感じ過ぎて、まとめてくれた有難みの一方、
深さを望んでしまう私がいます。逆にもっと偉人の言葉を知りたくなります。

知的好奇心を増大させる書籍でした。




読むべき偉人の書籍たち。


ひたすら出てくるのでひたすら載せましょうか。

6人の伝説的広告マンが現代に残した名著です。
絶版もあり、全てが入手出来るわけではありませんことをお伝えしておきます。


ここで、ちょっと立ち読み。



まとめ。


伝説的広告マンをもっと知ってみたい。

名著を全部制覇してやるっ!
くらいの好奇心が沸き起こったのは事実です。私だけでしょうか。

それは物足りなさから起こる感情でもあるし、幅広い情報が盛り込まれているからこそ起こる感情でもあるし、様々ですね。
広く浅くという形容がふさわしいかもしれません。



ならば本書は名著のガイドとして手元に置いとくといったところでしょうか。
名著を解説と銘打っているので、個人的にはそんなスタンスで役に立っています。

そのような訳で、月刊新書として届かない時に独自に購入したかというと、したとは言い切れる自信はありません。
不要とまでは思わないものの、名著のガイドです。案内です。

ただ見方を変えると、ガイドとしてのクオリティは高いです。
あまり読んだ経験の無い人にとっては入門編という捉え方も出来ます。

あなたの立ち位置はどのあたりでしょうか?



「広告の魔術

ダイレクト出版

時を越えた6人の教え。手軽過ぎてゴメンナサイ。


最後に:

広告を学ぶことは、すなわち人間を学ぶこと。
彼らも例外なく人に興味を持っている。

本書で偉人たちの脳内をのぞき込むと、そんなことを思わせます。

原題のタイトルは
“Advertising Solution”

その如く広告を解析すればするほど、広告というフィールド以前に、その原理は人の本質に行き着きますね。時代を越えて普遍的なものに触れるのは、歴史書を見るかのような錯覚も起こさせます。

再び表現すれば、広告を学ぶことは人の成長・成熟を促す。
自身への戒めも込めて、そう言いたくもなりました。

あなたにとっての広告とは何でしょうか?

名著は多くの答えを用意してくれています。
時を越えて。

実際に大衆を動かしていったそのパワーはいつまでも消えることはありません。

時を越えた6人の教え。手軽過ぎてゴメンナサイ。
「広告の魔術を見たい
(ダイレクト出版へはこのリンクから)
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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