難しい文献ほど、子供向けがとても大切です。
もしくは取っ付きにくかったり堅い内容の古典も同様ですね。
私たちを助けてくれます。
今、あなたの脳裏に何か浮かぶようなものはありますか?
難しく、そして堅い内容の書籍。
その浮かんだものの補助になるタイプの今回の本、
「強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法」
(Amazonのリンクに飛びます。その他は下記にて)
さて、この兵法書には既に多くの解説書が存在します。
私自身も随分とお世話になり、所持もしています。
そんな中でこんな子供向けの本があるんですね。多くの面で助けてもらっています。
まずは、子供も大人も共に学べる利点が多々あるのです!
しかもそれぞれの立場を活かすために。
それはどういうことか?
子供は子供の目線で吸収出来るのは言うまでもありませんね。加えて、教えていく私たち大人の側にとっても、その子供の目線で共に学んでいくことが出来ます。
子供にはどう伝えれば良いか。その視界が見える訳です。
2人で同じものを見る。
そうして生まれた説明は世代を越えてわかりやすい。いつの間にか大人の役にも立っている。
と、そんな論理になります。
そのような訳で、個人的には子供向けのものも是非オススメしたいのです。例えばこのようなものも。
正直に言いますと、身近に子供がいなければ手にする理由もないかもしれません。ですが、いれば勿論のこと、キッカケとしては大いにありだと信じています。
本書はこちらでも一部で取り上げましたが、特化してレビューをさせて下さい。重複する箇所はご容赦下さい。
子供向けの書籍の良さがまだまだあると思っています。それがお伝え出来て、お役に立てれば幸いです。
Contents
「こども○○」はシリーズ化されています。
例えばこのようなラインナップ。
もしあなたが古文・漢文に通じている方で、尚且つ子供に読ませたいと願う場合には嬉しさを感じさせませんか?
如何でしょう。
ただそこで、このタイプの書籍のレビューをしていく上で、あなたにはお伝えしておきたいことがあるのです。
子供向け=幼稚
とは違いますっ!
・・・言わずもがなでしたら恐縮です。
そうは言うものの、こうして念のために心からお伝えしたいことでもあるのです。
確かに、中身は難しい漢字を極力排し、ふりがなも多いです。
知性を養うには疑問が沸き起こるとしても無理もないでしょう。
しかしながら、それは大きな問題ではありません。何の見栄も思惑も飾りも無い説明は、実に大人にもわかりやすいのです。
だから、
子供向け=普遍的
と言えます。
子供にわかる説明は大人にもわかります。誰にでもわかります。私はそれを常に目標にして文章を扱っているほどです。
ぼくは、この「孫子の兵法」をおとなだけのものにするのは、とってももったいないと思います。こどもだって、競争をしなければならないときもあるし、人間関係で悩むこともあるからです。(p2)
そして読んでいくと、このような良さに気付かされていきます。
子供の世界には、別の論理があったりもする。
子供なりの大変さとでも言いましょうか。
私たちのビジネスと同様に、子供には一例として学校があります。
そのコミュニティーや社会はまだまだ小さいかもしれませんが、生き延びていくのもひと仕事。子供だから云々ということではありません。
私たちもかつては通ってきた道ですね。
友だちとケンカになりそうになったら、まずはケンカせずに勝てる方法を考えてみよう。(p17)
特に本書ではそういった内部事情が、なかなかリアルに描写・考慮されています。
子供の世界の論理を考える時に、例えばいじめの問題を思い浮かべてみて下さい。
大人の世界でもありますが、解決法を一緒くたに考えることが出来ないのが大半です。
いざ大人の論理で解決しようとしても、それは無理があります。
例えばこうは思いませんか?
嫌がらせを受けた悩める子供に
「そんな奴は相手にしなければいい」
と言ってみたところで、どうでしょうか。
大人になった今では、私たちはその意味や心理もわかった上で対処することが出来ますが、子供にとっては経験の違いから、その真意にはまだ届くことが出来なかったりします。
現実問題として、逆に相手にしないのは大きな苦痛かもしれません。
むしろケンカした方が良いときもあります。
私は勧めはしませんが、難しい問題ですね。
そのように見聞を広めていくにつれて、私たち大人にとっても子供の目線は役立つと、つくづく感じさせます。
勉強でもスポーツでも、もしきみがだれかに勝ったとしても、けっして相手をバカにしたり笑ったりしてはいけないよ。(p23)
標語にもなりそうです。
子供にだって兵法書は必要なんだ!
文体は優しく語りかけるような雰囲気で展開。
大人の心にもスッと入ってくるような有難い響きです。
子供に伝える時には、これをそのまま使えば良いかなとも思わせます。
総じて、本書の中の子供の目線で噛み砕かれた説明とイラストは、著者の子供への愛情を感じさせます。
著者の齋藤孝氏の文章は、
読むにも書くにもオススメ。
読むにも書くにもオススメ。
個人的に、実用文を書く上ではファンです。
軽くご本人のことについて触れますと、TVのコメンテーターとしても頻繁に出てくる方ですね。
あなたもご存知かと思います。万一知らなくても、顔を見るとわかるかなと私は予想していますが如何でしょうか。
教授という仕事と並行して、TV番組「世界一受けたい授業」にも時折先生として出ておられ、教えるのはお手のものでしょう。そのせいか著作は、とてもわかりやすいものが多いです。
彼の提案していく、難解なものをシンプルな文体と言葉で伝える方法は本当にオススメです。
こういうふうに書けたらなと願わせるほどです。
是非触れてみて下さい。当サイトでも他の著書をレビューしています。
また余談ですが、本書作成にあたって、書き下し分はこちらを参考にしているようです。
「新訂 孫子」
やはり原文は欠かせませんね。
私にとっても必読の書で、知的好奇心を満たしてくれます。より真実に近付きたい想いが購入へと至らせます。
ただ、これこそまさに取っ付きにくさの極みなので、好みは分かれるかと思います。最終的に、あなたにとって相応しいと思われるものを吟味して手に入れて下さい。
構成は24のことばをピックアップ。
教育にも最適。
大人の考えではもっと欲しくなりそうです。
24と言わず。
ですが、そこはグッと抑えて、子供向けだとこのくらいがベストでしょう。本当に大切で必要なポイントのみを抽出。子供の実生活にも適しています。
もし、きみが学級委員や部活のキャプテンなど、なにかのリーダーになったら、ぜひこのことばを思い出してほしい。(p47)
時々心にグッと来る内容も。
だから、争いになりそうなときは、あらゆる危険を思い描いてみよう。そして、その危険にさらされる覚悟があるかどうか、その危険とくらべて価値がある争いなのかどうかを、十分に考えてから行動するようにしよう。その覚悟と価値がなければ、簡単に争ってはいけないよ。(p49)
原文を愛読しているのでわかるのですが、様々なところから概念の近い教訓を著者独自にカテゴライズしてまとめていますね。そこも子供の論理や世界を踏まえています。
丁寧なまとめで、やはりそこにも著者の愛情が感じられます。
そのカテゴライズされた章の最後には豆知識としてのコラム。これは大人にもお役立ち。
そして最後は声に出して読むための、さらに選ばれし8つの書き下し分のコーナー。
大人のものには無いアイデアが面白いです。
人生は全て初歩から始まる。子供から始まる。
最後になりますが、やはり子供の本だと侮るなかれ。
こういった勉強は、語学の勉強にも似ていると思いませんか?
母国語は、子供が親からパパ、ママと口伝で教わるように。
そして外国語は、やはり大人でも子供の書籍や教材から始まったりします。
母国語としていない限りは、ネイティブの子供たちが育って自然に身に付けるのと同じように学んでいかなければなりませんね。
おとなになるまでに、そしておとなになってからも、楽しいことや幸せなことと同じくらい、つらいことや苦しいことにも出会うと思います。そんなときは、何度でもこの本を読んでください。(p70)
また、もっともっと学校教育で孫子の兵法を取り入れても良いかなと思っています。
今の、あるいは私たちの時代の現代教育を否定するつもりは毛頭ありませんが、昔の寺子屋とかの方が、朱子学や論語の類のものを学んでいたよなと記憶を辿っています。
もっとも、今のように受験制度があったわけでもなく、学問というとこういうものだったのでしょう。
黎明期なだけに、根源的なことこそ学ぶ。
点数の競い合いも否定はしませんが、こういったものにもっと真剣に時間を割いても悪くはないと思います。
学生時代を思い出せば、居眠りする授業一直線な気もしますが、そこは内容次第でしょう。
何故それが必要なのかから教えてみる。
個人的に、今となれば特に大事だったなと感じるのは、お金にまつわる勉強と割り切れないものに関する勉強。
グローバルに考えたら、これらは小さいころから周りの大人が教えていくべきことかなと反省も芽生えます。
本来ならば、逆に、大人になってそういった学問を学ぶ必要が無いくらいに。
「こども孫子の兵法」
日本図書センター
子供の未来の人間力と不変の心理が詰まっています。
最後に:
歴史上の人物も学んだ孫子の兵法。
その事実は本書でも他の関連書籍でも言及されていますね。ビジネス洋書でも頻繁に引用されているほどです。
そのようにして、洋の東西を問わずに広がっています。
2500年という年月を生き延び、愛されてきた不変の真理。
その教えが、このような形で子供の世界にも馴染んでいくのはとても頼もしく、嬉しいことですね。
そしてまた、良いものを伝えていくのは大人の役目。
1人でも多くの子供が、時を越えて、この不変の心理に触れられるように。
子供の未来の人間力と不変の心理が詰まっています。
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