胡散臭いと思っていますか?
本書のサブタイトル
「7年以内に最低1億円の個人資産をつくる」
というフレーズ。
ですが、一応あり得る話です。参考にはなります。
本書は、人によっては絵空事に思えるかもしれない(もちろん、すでに数千万ドルの純資産を持っている人は別だが)。だが、マイケル・マスターソンの言葉ほど信頼できるものはないのである。(p3)
胡散臭いと感じたとしても無理はありません。
ただ本書は、同じことをせよというのではなく、お金を増やす考え方やマインドを学ぶスタンスの方が適しています。
どのくらいの額を得ようとも、その大小よりも、考え方という土台は古今東西不変のものです。
そうは思いませんか?
7年という期間がポイント。
この期間を永いと思いますか? 短いと思いますか?
当然のことだが、ほとんどの人はできるだけ早くお金持ちになりたいと思っており、「待てる」のは約7年だということを私はつかんでいた。(p5)
著者のマイケル・マスターソン氏の調査の結果では、この7年が待てる最長とのこと。
そこで本書の原題は、
“Seven Years to Seven Figures”
これは「7桁へと向かう7年」という意味です。
7桁は100万ドル。つまり日本円で約1億円。それがサブタイトルを意味しています。1億への7年というわけです。
そこまで増やすためのコツ。
もしあなたがそれを学んでみたいと考えていましたら読み進めてみて下さい。
Contents
本書の概要と評価。
資産形成は投資術にあり。
7年で1億が可能か?
お読みのあなたもそこが気になるところと思います。どんな手段を使うのか?
全体の4分の1ほどの第一部では著者の半生と、ファイナンシャルプランナーのような細かい数字の話。
そもそも著者も7年で1億を実際に達成した人物なので、その体験談。
そこは数字がひたすら並び、やや理解しにくい。
ですが、一番必要なことは数字に強くなることではなく、増やすためのマインドが大きいのだと気付かされていきます。
福利は素晴らしい仕組みだが、福利の貯蓄が百万ドルに達するには、どんなに利回りがよくても何十年も待たなければならない。だから、私は「倹約して、貯めて、待つ」蓄財方法を勧めようとは思わない。なぜか?(p29)
さて、7年という期間でそれだけの資産を作るということは、投資という手段を最終的に使えば可能。この最終的にというのがミソです。最初から投資をするわけでは決してありません。
本書を読み進めると、その方法がわかるようになっている。不動産、株、自分のビジネスなど、さまざまなタイプの投資にどうアプローチすればいいか正確に教えるつもりだ。(p57)
使ってこそ、膨らます。
でも、ちょっと待って下さい。投資をするにもその元手は?
8人のサクセスストーリー。
7年で1億を達成した8人の仕事人生。
それぞれに多種多様です。さすがアメリカ。
実際の生き様や考え方、そして価値観を追っていくドキュメンタリーです。これが本書のメイン。
テレビ番組にもなりそうな展開と趣。そうイメージしてみて下さい。
勿論良いことばかりではありません。沢山の失敗や苦労に言及している所は、本書をよりリアルに薄っぺらくしなかった長所だと感じさせます。
まずは元手の獲得方法も多様。
本人たちの口から口語体で語られ、お金への考え方を戒められていくようです。
どん底に落ちてから、自分が何を間違ったのか、立ち直った後で何をすればいいのか、時間をかけて考えた。二度と浪費のアリ地獄に落ちないと心に誓ったんだ。反対に、財蓄が好きになって、貯めたお金を賢く投資する知識を身につけた。(p149)
もっとテクニカルな内容かと思いきや、地味で地道なことの連続。
またその中で、個人的に印象に残り面白みを感じたのが4人目のジャスティン。彼は破産から復活しています。
その人生模様も面白い。
富の勉強をしよう。
したたかに研究するにはもってこい。
富とは何でしょうか?
どうやって得られるものなのでしょうか?
富への金言がリアルに説得力を持ち、ドキュメンタリーの中にあふれていきます。
今のあなたが感銘を受ける箇所もあるのではないでしょうか。
投資や膨らますプロセスに触れる前に、どのように働くかの仕事論の熟成は不可欠。お金の勉強も不可欠。
さらにどんな手段を最終的に使うにしても、元手を得る努力やアイデアは必要であると始まります。皆、知恵を絞っている。
それすらも労せずして・・・ということを期待してしまったら本書は無駄な買い物になるでしょう。
人生にとっても、損が無いと思わせます。
そして最終評価は。
こうしたら楽に金銭を増やせますよ。
そんな本では断じてありません。
すなわち、7年以内に百万ドル単位の純資産をつくることは、かなり多額の収入がないと実現できないのだ。
年に30万ドル以上を投資するのは容易ではないが、他の条件がすべて同じならば、それが7年で350万ドルを達成するための必須条件になる。(p52)
楽な手法やノウハウを知りたいと思うのならば他の本をオススメします。
マユツバもののオイシイ話では決してありません。
その意味では地道なことを当たり前に書いてある筋金入りの書籍ですね。
増やしていった人々の実際のドキュメンタリーをやっているテレビ番組を想像してみて下さい。そこには富豪だからという自慢話も無く、地に足の着いた冷静な分析があります。
ただ、方法としては投資・運用に行き着くところにそのものには驚きはありませんね。個人的には他に何かあるのかと期待してしまったところもあり、そこが惜しく思われます。
オイシイ方法を期待する人にとっては★★(2.8)。
何の収穫もありません。
読み物・思考法・ドキュメンタリーとしての訓戒書とするならば★★★★(4.8)。
そのような訳で総合★★★(3.8)の評価をしました。
お金というものに本気な人に、是非オススメしたいと思っています。
ここで「秘・資産形成術」を見たい
ビジネスや人生の訓戒書にもなるメリット。
これが第一段階の本書の捉え方。
本気になればなるほど、得られるものは幅広く、濃く、多彩。
8つのドキュメンタリーなので、幅広い分野に及ぶ話ですね。
例えば、起業術のためのマインド。
「1日10時間働く気があれば、以前からの顧客を満足させながらビタミン販売の会社を始められると考えたんだ」。(p99)
セールスの重要な考え方・マーケティング論。
起業家が初めてある分野に参入するときは、「画期的な」商品のアイデアを持っていることが多い。しかし、そうしたアイデアのほとんどは、実際に試してみると、まったくのクズであることがわかる。
(中略)優れた新しいアイデアのほとんどが失敗するのは、そうしたアイデアが外から見た業界の姿に基づいているからであり、部外者に見えることしかわかっていないからである。(p120)
さらにはビジネスの処世術。
不誠実な人間に関わり合っている暇はない。一度嘘をつかれたらもう二度と会わない。そういう人間はまた嘘をつくからね。それに、最近は、商品への思い入れと、ビジネス相手への好感が持てなければ、取引をやめることにしているんだ。(p138)
ビジネスの倫理。
ジャスティンが守り続けている原則の1つは、必ずクライアントが自分と同じかそれ以上の利益を得られるようにする、ということだ。(p158)
挙げればキリがありません。
その意味では、真面目であればあるほど面白くなることを約束します。加えて、ページを進めるのが速くなっていきます。
奥義や近道はなく、オーソドックスで、時にストイック。
読む度に印象が変わるところもあるのですが、一つだけ変わらない本書の本質です。
そして少しの知恵を絞らなければならない部分。簡単に答えを教えるような軽さは皆無です。
逆を言えば、これらを踏まえていないと、稼ぐことも膨らますことも出来ないとも言えます。
考えてみて下さい。
これらを欠かしたところで、仕事が出来ますか?
結果が残せますか?
ビジネスは当然のことながら金銭が絡みます。
だからこそ、厳しくグレードの高い教訓や倫理が常に求められ続けることは言うまでもありません。まずはそれがテクニックよりも大切だと、著者の解説から考えさせられます。
全体を通して一貫。
読んでいくうちに「7年で1億」というフレーズも脳裏から消えつつあるようです。欲も吹っ飛ぶと言っても過言ではありません。
やがてあなたに稼ぐという結果が訪れると第二段階に入ります。
行きましょう。
次に必要なことは、
富への思考回路の改革。そして確立。
実はこれが一番大きいのではないでしょうか。
先ほどのビジネスへの訓戒は、当たり前のことを当たり前にする手堅さが求められました。次は脳内革命を必要とします。
あなたにとって、そもそも富とは何ですか?
または、富を増やすということはどういうことでしょうか?
ちょっと考えてみて下さい。
基本的事実とは、富には限界を持つ形態があるということだ。一方で、再生産できる富もある。天然資源(石炭、石油、天然ガスなど)の利用には限界がある。だが人的資源(知性、創造力、スキル)は際限なく使える。
知性や創造力やスキルによって生み出されるものも、また限界がない。地球上に100人の人間がいれば、富を生む10万の可能性があるといえる。(p30)
富や資産というものは目に見えるものだけではないのですね。
何かを生み出せる知識や才覚ですら、立派な富となり得ます。
「芸は身を助く」と言わんばかりに、金銭を生み出すこともあるでしょう。今の自分は何を持ち、そして活かせるのか。
何が言いたいかわかるだろうか? 富は技術、アイデア、財産などどんな形にせよ、常に生み出されているということだ。(p30)
改めて考える機会を与え、腰を据えさせます。
資産を得ると決心して本書を手にした以上、曖昧さは許してはくれませんね。
まるで大海に放り出されるようです。
そしてその大海のことももっと研究しなければなりません。遭難します。
そして、
もう一つの思考回路。
お金というものは、逆に使わないと増えない。
私自身が事業をしている中で、真の意味で収入のある人や資本を持っている人たちの考えに触れると、ほぼ皆その思考回路を持っています。
使うといっても散在することとは違い、案外そういうことに興味も無かったりします。
お金をコントロールするのが好きといった方が良いのでしょうか。
また言い換えれば、ケチな人や使わない人には結局お金が回ってこない。投資もしなければリターンも無いと表現することも出来ます。
この一連の考え方は、発想の転換が起きた事の一つです。是非お読み頂きたい。
コチラの記事でも言及しています。
使うことは浪費・出費ではなく、投資。
このように書籍を買うのも同じですね。いつの日か何かを生み出すための投資。
本書に出てくる人たちも、スキルや勉強に頻繁に投資を続けています。
それらの勉強の1つとして、
不動産を選ぶ人が多い。
ここに出て来る人たちはほぼ不動産の活用を選択。
そこでも学んでいるので、FXや株というリスキーなものを選びはしません。
資産というものの捉え方が、そもそも違うのだなと敬服します。
それを知れることは大きな収穫。
こうして本書で学んでいくと、あることを思い出しました。
帯にあるこちらのフレーズです。
仕事で大金を稼ぐ優秀な人でも、お金持ちになれずに終わるのか?
稼ぐため・増やすための優秀さは、また別の場所にあるものです。
それもまた新たに学ぶ必要のあるスキル。
8人の生き様から、それらはつまるところ思考法の問題が大きいのだなと思い知らされるでしょう。
増やし方のドキュメンタリーにだんだんとワクワクしながら後編へ。
もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい
実は富を築くってこういうことだったんだ!?
「秘・資産形成術」を見たい
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「ガチで独創的なレビュー:「秘・資産形成術」(前編)」への1件のフィードバック
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