ガチで独創的なレビュー:「広告の魔術」(前編)



面白いことは面白い。

いや、そういうことではなくて、広告の本としてはどう?
勉強になる? 効果はある?

もしあなたにそう聞かれると難しいところです。

何故かと言うと、広告関連の偉人の名著の内容・・・その抽出がほとんどだからです。
そして著者であるクレイグ・シンプソン氏とブライアン・カーツ氏の見解をまとめ。

その内容は名著のガイドのように、手っ取り早く多くの書籍のポイントに触れられるメリットはありそうです。

では、何故、そのような内容なのか?

本書の導入編では、一気に名著を読めるガイドのようで惜しいとの感想から触れました。



ここを訪れているあなたは、既に名著のいくつかを持っているのではないでしょうか?

もしその場合は本書を購入する必要はありません。
それをこれからも大切に熟読していけばいいのかなと思います。

一方で、これまでに名著の数々に触れたことが無い場合には、要点をまとめた一冊として所有するのも悪くはありません。
もしくは本書ではなく、それらを一冊一冊購入して読んでいくか。

そんなこんなで本書に興味が沸きましたら読み進めてみて下さい。

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本書の概要と評価。

伝説的広告マンたちが出てくる目的。


これが本書の大きな存在理由。

何故取り上げるのか?



それは6人の功績として編み出されたテクニックが、普遍的で今でも通用するから。

「彼らが書いた普遍的な心理は永遠だ」

もちろん、いくつかの点では時代遅れと感じられるところがあるかもしれない。(中略)しかし、本書を読むときは、疑心暗鬼をいったん脇へ置き、彼らの仕事がどれくらい時の試練に耐えて残ったのかを考えてほしい。それはテクノロジーを超越したものだ。(p7)


モノによっては100年以上前のものでも、今のテクノロジーの中で十分通用すると。

著者自身が抱く彼らへの敬意が見え隠れするのが微笑ましく感じさせます。

本書は、世界最高のマーケティンングの先駆者たちの知恵を凝縮し、彼らが編み出した基本的な原理を現代の言葉で表現している。達人マーケターになるために必要な情報がこの1冊に収まっている。(p12)

 

序盤で6人の人物伝。


人生を辿っていきます。
その6人はこちら。



その人生は多種多様。

生い立ちや経歴、そして何を生み出し、どんな著書を残したのか。
著書も大ベストセラーが多いので後編でまとめて紹介します。私も所持しています。

繰り返しにはなりますが、手っ取り早く各人・各名著を知れる手軽さはあります。
もしあなたが既に広告・コピー関連の書籍を読んで来たのならば、この内容は知っている可能性が高く、後の展開は目新しくは感じられないのではと疑問を残していきます。その葛藤がしばらく脳裏で続いていきそうです。

著者の両氏はまるで6人の功績の代弁者。
それらがどれだけすごいのかを熱弁。

今こそホプキンス、コリアー、ケープルズ、オグルヴィ、シュワルツ、そしてハルバートの頭の中に秘められた財宝のすべてを探るときだ。(p47)





ただ、面白いです。広告に興味がある人にとっては。
そこが惜しい。

この後コピーやマーケティングの話になると引用がより多くなっていきます。
○○はこう言っている、のように。

もっと効果的なコピーを書いてレスポンス率を上げるにはどうすればいいか、オグルヴィの意見を聞いてみよう。(p142)

 

現代ならばどうするか?


偉人の功績を現代のテクノロジー向けに。
特にインターネットに照らし合わせて話が進行。

中盤の流れが本書の大きなメイン。

Part1: 広告の最初に必要なもの
Part2: コピーの書き方の重要ポイント
そして
Part3: 実際のマーケティングに活かす方法への順。


所々に彼らの金言を交えながら。

本書では、彼らの発見と、それらを現代にどう役立てればいいかということを深く掘り下げていくつもりだ。(p22)


ただ、思っていたよりも現代のテクノロジー向けの内容は無いかなと感じさせますね。WEB用の書籍に限定するならば、私が知る限りでは他にもあります。

例えば、メルマガ用のタイトルの付け方やクリックを促すような言葉の使い方等。
本書ではその部分がやや弱いかなと感じさせます。もっと徹底しても良かったかなと。

本質を知っていればインターネットの世界にも自ずと応用出来るといったところでしょうか。



最後はまとめの教訓。


結果を出す10の教訓。

そう名付けて、これまでの偉人の言葉や著作からの重要ポイントをスッキリと。

6人の伝説的広告マンについて本を読み、幅広い調査をした結果、私はプロモーション・キャンペーンで最高の結果を出すために、6人に共通する「10の教訓」があることに気づいた。それをまとめたのがこれだ。6人ともきっと賛成してくれるに違いない。(p256)


名著の所持の有無はともかくとして、もしあなたが振り返って確認をするにはちょうど良いまとまり具合です。


広告学の中で最終的に行き着く所は割りと決まっているので、この教訓の中で革新的な理論はありません。ですが、すぐに見て確認出来るといった実用性はアリ。

まさにガイド。

そして最終評価は。


広告に興味があれば面白い本です。

広告を学ぶために本書を買うかというと疑問符が付きますが、知的好奇心は満たされます。

ただ現代版にアレンジをする大義名分ならば、その辺をもっと徹底して、そのためだけの本にしても良かったかなという気持ちが残ります。そうすれば、過去の功績を称えるだけではない本書の強い存在理由があり、熟練者が新しく買う理由の一つになったかもしれません。



これまでに広告関連書籍に触れたことが無く、ひとまとめにしたものを読んで楽したいならば★★★★(4.2)
かなり読んできたならば、今所持している本で足りるので★★(2.8)

そのような訳で総合★★★(3.5)の評価をしました。

皮肉な話かもしれませんが、個人的には本書を読んだことで所持している本の有難みを一層感じる結果となりました。

ここで「広告の魔術」を見たい


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広告、その最初に必要なものは?


何だと思いますか?

序盤の
Part1にてそんな心の準備。
コピー作りに触れる前の要として、
最初にあなたに考えさせます。

偉人の言葉や仕事から判断すると、それは、創造力と想像力。
この2つの言葉は本書の中では、

  • 創造的セールス
  • 売るための心理学


とそれぞれ表現されています。

まず一つ目の創造力の筆頭として挙げているのが、人を惹きつけるショーマンシップ。
人はどんなものに注意を引かれるのか。

ロバート・コリアーが強調するこの考えに多くのページが割かれているところから始まります。

しかしコリアーは、効果的なセールスレター(またはプロモーション資料)を作るにあたって、もう1つ必要な要素があることを知っていた。肯定的な成果を上げるためには欠かせない要素だ。それはコリアーが「ショーマンシップ」と呼ぶもので、彼の有名な著書『伝説のコピーライティング実践バイブル - 史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269』のなかで1章を割いて解説している。(p50)


人目を引く方法や、封筒及びEメールを開けてもらう秘訣を解説。思わず笑ってしまう小ネタもあり。

何故、そこから入り、ページを割くのか?



見てもらわないからには何も始まらないのが広告・コピーの世界だからです。

プロモーションのためにどんな媒体を使うとしても、まず必要なのはすぐれたアイデア ― あなたが人と違っていて特別である理由を伝えるためのアイデアだ。(p48)


創造性を働かせるためにどうすればいいだろうと考えていくうちに、二つ目の重要事項が待っています。

二つ目は、売るための心理学。
人はどんな理由で買うという行動に走るのか。

彼らが成功したのは、人間の心理を熟知して、効果的なマーケティングキャンペーンのためにその知識を利用できたからだ。彼らはマーケターの視点からだけでなく、商品を売ろうとしている相手の視点から物事を見ることができた。(p77)


心理を支配する彼らの才能や努力に触れることに喜びを感じさせます。

特に心理にまつわるものは学んでも学びきれないほどの無限の可能性を秘めています。もし広告をこれから学んでいく場合に限り、本書は小さいながら良いキッカケと捉えることも出来そうです。

そしてさらにはシュワルツの脳科学まで。
個人的には、心理学や脳科学というものへの興味は尽きません。どんな分野も人を知ることは必要です。

シュワルツは脳科学を自分なりに解釈し、脳の心理と機能には低い方から高い方に、次のような3段階のレベルがあると考えた。(p87)


いろいろなことをよくぞここまで
一気にまとめたという印象です。



さて、最初に必要な創造力と想像力。
この2つが広告の最初に必要なもの。それは何故か?

広告は人に行動させるものだから。


この概念はこちらの書籍でも特に研究されています。



現代広告の心理技術101


広告を作る上で、具体的にどのようにするかの手法はあまりありません。むしろ必要最低限な消費者心理学を網羅した内容です。

広告学をゼロからみっちり学ぶような骨太の本で、ベストセラーとなっています。
著者の
ドルー・エリック・ホイットマン氏も、毒を吐きながら、広告は人に行動させるものと断言。

巻末にオススメの書籍紹介がありますが、本書「広告の魔術」と多くが共通しています。



さて本書に話は戻ります。

広告の目的は商品やサービスを売ることであり、華麗な文章で読者をうならせることではない。(p123)


このようにして序盤は広告・コピーへの取り組み方や姿勢を教えられるので、ある意味で彼らの、

広告のプロ意識の伝授。


その道の心を知っていく心持ちに。

特に個人的に気になり役立った箇所は、リサーチに関する所。

主にデイヴィッド・オグルヴィの話が登場です。
彼が広告を作るにあたり、どれほどまでにリサーチに時間を掛けたのか。

また時間を掛けたのには大きな理由があります。

私が一緒に仕事をしたコピーライターの多くが、オグルヴィの言葉を実践している。書き始める前に、必要なだけリサーチに時間をかけているのだ。
事実そのものがビッグアイデアを導き、その商品を売る力になることがしばしばある。創造的インスピレーションはリサーチの努力から生まれてくる。(p67)


リサーチというものは、言わばヒントを探す旅。
私自身、デザイン業をしている中でリサーチの重要性は心から実感しています。アイデアは沢山転がっているので、そこに貪欲になれるかどうかがものを言うのでしょう。

そうして偉人たちの魂を受け継ぎつつ、広告・コピー作りの核心
へ。


いざコピー作りで大切なことを手軽に。


Part2のコピー作りのスピリットで本題に。

とはいうものの、この辺になるとほぼ引用や偉人の考えで文章が成り立っている感は否めません。
必要なことが簡潔に書いてある喜びは約束しますが、やや物足りなさは残していきながらページを進めていきます。

  • ホプキンスの法則
  • コリアーの6つの必須要素
  • ケープルズの20の洞察
  • オグルヴィの宝のリスト

個人的にはホプキンスの内容は一番オススメ。印象に残ります。
もしかするとこれだけで全て語られるくらいの要素と言っても過言ではありません。

さらによくよく見てみると、これらは人としても大事な要素にも映ります。

この原理が時代にして、昭和の初めに生み出されたと考えると何とも言えない驚きしか残りません。
敬意さえ生まれてくるのは私だけではないはずです。

さらに言えば、最近ではヘッドラインを書くための「究極のコツ」を紹介した本をよく目にするが、そういう「コツ」は、実は数十年前、それどころか数世紀前から伝えられてきたものだ。昔から大切にされてきたそれらの貴重な教えを見直すことで、学べるものは計り知れない。(p152)



ヘッドラインとテストが絶対。


この2つが強調されていくのに気付きます。


まずヘッドラインから全てが始まるのは周知の事実。
どんなものが読んでもらえるのでしょうか?

伝説的広告マンがヘッドラインの重要性を強調したように、現代のオンラインマーケターは”件名”の作成に注意を払う必要がある。(p148)

最低限の法則は沢山あれど、何が決め手かは偉人たちも意見が食い違う所です。そうなると、

広告のテストはきわめて重要だ。伝説的広告マンもそうしたように、思い切って新しいことを試してみよう。しかし、新しいアイデアがうまくいくかどうかは、必ずテストする必要がある。(p160)

テストにテストを重ねて検証してみることが必要と説きます。
実は本書後半はこのテストというものが異常に強調され、繰り返されます。本書で一番伝えたいのはテストなのかと言わんばかりに。

本書を読んでいくほど、逆にもっと伝説的広告マンの名著を読みたくなるような構成が続きます。

では、どんな書籍があるのか?
好奇心にあふれながら、後編でリサーチ。


もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい


時を越えた6人の教え。手軽過ぎてゴメンナサイ。
「広告の魔術」を見たい
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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