ガチで独創的なレビュー:「スコアをつければ組織は動く」(前編)



タイトルで誤解される本かもしれません。


あなたはこう思いませんか?

スコアをつけると言ったら、ランキングのように点数をつけて奮起を促したりするものか?と


正直に言うと、当初私もそのように思い、深くは考えていませんでした。


ですが
よくよく考えてみると、既に行われているような点数つけで良いのならば書籍にする必要もないわけです。
そう我に返り、頭をポリポリ・・・。

そこで読みながら本書に抱いた印象は、もう少し深い次元の話と運営法。
違う角度から新たな扉を開けてくれていると感じさせます。

そもそも私たちが扱うスコアというものへの考え方から目を向けさせますね。まずは数字を考えさせる。


組織の効率等を考える内容なので、経営者や上司等の決裁権をもつ立場にある人にはふさわしいです。そしてもう一つ、ベストなタイプの方がいます。

本書の導入編では、数字の魅力と魔法から触れました。




スポーツは好きですか?
見るのもやるのもどちらもOKです。

これこそが先ほどの、もう一つの適したタイプ。

というのも、要となる考え方がいくつか出て来ますが、それは全てスポーツから派生しているからです。ここで言うスコアとはスポーツのスコア。時折マニアックです。

私には1つの疑問があった。人は報酬をもらって働くが、それ以上の労力が必要とされるスポーツを、お金を払ってまでするのはなぜなのか?(p4)
 
著者チャールズ・A・クーンラット氏の素朴な疑問から。
スポーツと仕事を結び付けられはしないかと続いていきます。

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本書の概要と評価。



スコアをつける?
どんなスコアだろう?

本書との出会いはそんな疑問から。
手にした瞬間では、ありがちな点数つけかなとも。

営業成績の棒グラフのようにハッパをかけるものなのかな?
馬に人参作戦かな?

ひたすら脳裏に沸き起こる疑問と共に読み進めていきます。当然のことながら、そんな考えは早々に打ち砕かれることに。
加えて、表紙だけではわからなかったのですが、時を同じくしてスポーツをモチーフにした内容だと悟らされます。

最初のこの言葉で。


プレーするように働く。


“THE GAME OF WORK”

仕事をスポーツのゲームのように捉える。
これが本書を読む上で欠かせない一大コンセプト。

さて、どうしてそのようにする必要があるのか?



私たちは、やる気の湧くもの、目標がはっきりしているもの、進歩の度合いが明確に示されるものに引かれるのである。(p5)

冒頭で、何故スポーツから考えるかをこのように言及。
スポーツは目標がハッキリしているからモチベーション維持・
チームの団結にも役立つと。

そうなると、その助けとなるものは一体何か?

もうおわかりかと思います。
それはスコア。

スコアのおかげで勝ち負けも、個人成績も知ることが出来ますね。

言い換えれば、現在の立ち位置や調子を明確に見極められるということです。
これを企業にも取り入れようとする著者の大きな提案。取り入れるには、そのつけ方(スコアキーピング)を考えていかねばなりません。

だから洋書の原題はこれ。


“Scorekeeping for Success”

導入編でも触れましたが、「成功のためのスコアキーピング」。
本書の THE GAME OF WORK のアイデアを機能させるために出てくるスコアのつけ方、それがスコアキーピング。

本書は、健全なスコアキーピングの原則に従って成功を収めるための本である。(p7)

そこまでに至る論理の流れはわかりやすく、破たんも無駄も感じさせません。

スコアキーピングと数字の魔力。


全体は3部構成。
スポーツが好きならば面白みを感じさせる流れ。

所々にスポーツの実話を交え、サクセスストーリーがやる気を起こさせます。



まずPART1ではスコアキーピングの心理学と哲学と称して、主にそのメリットの解説。
あなたにとってスコアキーピングはどう役立つのか?

スコアカードを作ったことで、私は自分の状態を知り、合理的な目標を掲げることができたのである。
(中略)
まず、スコアキーピング、目標設定はそのあとで。(p63)

ここでの一連の説得からは著者の情熱も感じさせます。
同時に、数字およびスコアの持つ本来の意味や力を改めて考え直すキッカケを与えるでしょう。

たかが数字、されど数字。
スコアキーピングはこんなにすごいんだ! そう言わんばかりに。

主観では、
読み進めるにつれてこのキッカケが非常に重要だと感じます。
数字についての考えを確立させなければ、その扱いがいい加減になっていく懸念も否めません。

扱いで気を付けなければいけないことも沢山。



また逆に、スコアが語るメリットはこの2つ。
 
  • スコアは世界の共通語。
  • スポーツのスコアはポジティブ。

数字の扱いで気を付けなければいけないことと、スコアのメリットはとても重要なので改めて後述します。

人心掌握やコーチングの書として読める。


スコアによって状況・状態を知るから、それを使ってのコミュニケーションへ。

何にスコアをつけ、どのようにしてスコアをつけ、どのように改善していくのか。



半分以上のページ数が割かれているPART2では主にコーチング。
数字だけに溺れるのではなく、人の心にどう対応していくのかも周到に書かれている部分に好感が持てます。

実際にスコアを使って、どのようにコーチングやマネジメントをするのかのイメージは沸きやすいです。その術を知るだけでも収穫はありそうです。

成果を上げたいと思うなら、成果はどれだけコントロールできるかではなく、どれだけ影響を及ぼしインパクトを与えられるかに比例するという事実を頭に入れておく必要がある。(p172)

最後のPART3でスコアカードの具体的な作り方へ。
読んでいてもなかなか出て来ないと感じた作り方。やっと出て来たという気持ちは否めず。

恐らくお読みのあなたも同じ感想を抱くかもしれませんね。

実際のやり方よりも、その考え方を取り入れていくのが
重要ということでしょうか

そして最終評価は。


ゲーム感覚で働き、スコアキーピングを取り入れる考え方そのものは有益性をとても感じます。
しかも面白い。何故か読み進めてしまいます。

全体的にポジティブな本で気持ちも明るく。



また人間に「甲乙をつける」といった浅はかなものでもありません。
加えて、「良い所を伸ばす」や「褒めて伸ばす」のような指導法のようにも見えますが、そういった次元でもないように感じます。

むしろ逆に、感情に左右されずに、
普遍的で信頼出来る数値で捉える。
その徹底ぶりには多くの学びがあり、数字に対して発想の転換も促してくれます。

そのような訳で、★★★★(4.6)の評価をしました。
やや評価を下げた理由は、最後の最後に出てくるスコアキーピングの方法が難解に感じたところですね。どうしても申し訳程度にまとめられている感触が消えません。

要のスコアキーピングについて、もう少し詳しくレビューしていきます。

ここで「スコアを付ければ組織は動く」を見たい
 
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スコアキーピングで知る、あなたが勝つ術。


逆にスコアを知らないと勝ち方を知らずに終わる。
これが序盤で語られる、スコアをつけなければいけない理由。

まず、スコアを知らずにやっているスポーツを連想してみて下さい。

逆転しようにも何点必要か?
そもそも勝っているのか? 負けているのか?



勝つためには何が必要かを彼らは知らない。それどころか、勝ち方はもちろん、得点のあげ方さえ知らない。ゲームのレベルも、競技場がどこなのかも、知らないことさえある。(p23)

次にこれを仕事に当てはめてみて下さい。

あなたには経験がありませんか?


毎日働いている職場であるにもかかわらず何もわからない。

今のあなた自身が何者かも、どこのレベルにいるのかもわからない。
さらには何で評価され、何で優れて貢献しているのか?
やる気を起こすにも、何をどうすれば良いのか?

何だかそんなうやむやの毎日。そういう状態が続くと何が起こるか?



モチベーションが下がるのは言うまでもありませんね。
これが組織や企業レベルになると、大多数が惰性で働き、全体の士気にも影響を及ぼしかねません。

そして、いちばんの問題は、何をもって得点とするのか、考えがほとんど、あるいは、まったく一致していない点である。共通の目標などもう存在しない。(p28)

それが世の中だと諦めないで下さい。
どんなものでも勝つためには
モチベーション、そして目標と団結が不可欠。

スポーツでは勝利の目標がハッキリしていて、それに向かって団結するのに、仕事ではとたんに団結出来なくなる。

ゲームでは、勝つために必要なことが明確に示されている。

私たちに必要なのは、ゲームでも非常にうまく機能しているスコアキーピングを職場にも採り入れて、成功するには何が必要かを明確にすることである。(p30)

そこで全て解決し明確にするのがスコア。仕事も面白くさせます。

ただ、点数をつけるだけだと早合点しないで下さい。
序盤の説明を抜けると、とても深い論理が待ち構えています。


スコアの落とし穴。気を付けるべきこと。


スコアに対する懸念事項に触れる周到さ。
著者の実際のコンサルタントとしての経験を題材にしつつ、早合点をさせないような論理の深さも存在。

単なる測定はスコアキーピングとは呼ばないことに気づくのに、私たちは手間どった。
当初、これに気づかなかったのは、私たちがコンサルタントとして結果だけを注視し、人の感情や反応に目を向けていなかったからである。(p32)

スコアキーピングという手法も、多くの失敗や修正を重ねてここまで来たのだなと教えられますね。
読んでいるあなたの数字への理解も深まると約束します。

さて、そこで気を付けたいことは?



測定はネガティブ。スコアキーピングはポジティブ。
この考えがとても大切。

スコアキーピングは、敗者ではなく勝者を明らかにする。一方、測定では、多くの場合、何がよくないのか、何が欠けているのか、何が歩調を乱しているのかが示される。測定は、勝者ではなく敗者を明らかにする。(p33)
 

ここで、スポーツの本質を考えてみませんか?


それは?


スポーツはミスしないことに重点を置くのではなく、成功したことに重点。
ポジティブな事柄をカウントしてスコアをつける。

例えば、MLBのイチロー選手。
とても沢山のヒットを打ちますよね?
ですが、凡退した(ヒットを打たなかった)回数の方が圧倒的に多いわけです。

同じように、サッカーのC・ロナウド選手。
シュートを外した回数の方が圧倒的に多いわけです。

本書の中でも、さすがスポーツ大国アメリカらしい多くの名選手の名前がジャンルを超えて登場。
どの場合もミスをした回数よりも成功した回数を評価し称えることは共通しています。

それがスポーツの本質。
成功こそが測られ称えられる。

ただ、実際の会社ではどうでしょうか?



その真逆ではありませんか?

ミスにクローズアップ。考え方から視点まで全てがネガティブ。
勿論仕事となれば、ミスが許されなくなる考えは致し方ないこともあるでしょう。

だが、バスケをする12歳の子でうまくいったからといって、同じことが、無情で理不尽なビジネスの世界で通用するだろうか? こんな競争の世界でも役に立つだろうか? うちの会社でも本当に使えるのか。(p83)

ただ冒頭でも触れましたように、ここでは事情をわかりながらも、もう1つ新たな扉を開けて見聞を広めてみましょうか。
私はなんだか、新しい発見で清々しい気持ちにさせてもらえました。

ひとえに、

ポジティブがポジティブを呼び続ける。


よい点に目を向けてそれに力を入れていくと、驚くべきことが起きる。(p88)

やがて中盤以降では、この事実が連鎖的に多くを生み出していく展開があり、ワクワクさせます。


まず代表例が、良いフィードバック。

スコアキーピングの時点で良い部分から入ることで、足りない部分の分析も受け入れやすく。それが人間の心理。

子育てやアスリートの実話を例に取り「なるほど!」と思わせられます。
そのシチュエーションはわかりやすい。

次はそれを基にして、

良識ある優れたコーチングへ。


コーチングと人心掌握が本書の要。
そしてまたスコアキーピングの意義。

鋭いマネジャー、コーチは、事実や正確な情報を集め、本物のデータを使って “真のコーチング” を行う。(中略)
スコアキーピングはコーチングのやり方を教え、効果的なコーチングを可能にするツールである。(p98)

より良いスコアキーピングによって組織は動きます。
しかしながら、そう簡単にことは運びません。

スコアも人心も移ろいやすくてデリケートなもの。まだまだ気を付けるべきことが沢山あります。

そこでもう一度だけスポーツの本質を考えてみましょうか?
今度は別の角度で。

そうするとスコアキーピングの最も
大きな理念が見えてきて、それがあなたをスコアキーピングの最終目標へと導きます。
やがて人も組織も動くことに。

スコアも人も、より深まっていく後編へ。

もうちょっとガチで知っておきたいから後編を見たい

愛は地球を救うけど、数字も地球を救う。
「スコアを付ければ組織は動く」を見たい
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ガチで独創的に読んでくれたあなたに謝謝。

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